車が大雪で立ち往生したときに注意すべき一酸化炭素中毒とは?エンジンは切るべき?

2021年6月掲載

大雪が降ると、自動車が長時間立ち往生してしまうことがあります。その際、エンジンをかけたままにしておくと、一酸化炭素中毒になるリスクがあるため大変危険です。そこで今回は、大雪で立ち往生した際、一酸化炭素中毒にならないためにはどうすれば良いのか、準備しておくべきものをまとめました。

一酸化炭素中毒とは?

一酸化炭素中毒とは、一酸化炭素(CO)を吸い込んだ影響で何らかの症状が出た状態を指します。

一酸化炭素を吸うと、酸素が全身に回らず、酸欠の状態になります。軽度の症状であれば疲労感・頭痛・吐き気・視力障害などで済みますが、重度の症状になると痙攣(けいれん)・意識障害・昏睡状態に陥ることもあります。最悪の場合、心肺機能の停止を引き起こし死に至ることもあるため、一酸化炭素中毒は、決して軽視できない症状です。

吸い込んだ一酸化炭素が濃ければ短時間でも症状を招くほか、濃度が薄くても長時間吸ってしまうと症状が発生するため、適切な対処方法を知る必要があります。

大雪によって一酸化炭素中毒が起きる原因

大雪によって一酸化炭素中毒が起きる原因

車のエンジンから排出される排気ガスには、一酸化炭素が含まれています。車が立ち往生した際、排気口(マフラー)が雪で埋もれてしまうと、排気ガスが床下などにたまり、ボディの隙間や外気導入口などから車室内に入り込む可能性が高まります。

そのため、大雪によって立ち往生した際は、一酸化炭素中毒を引き起こすリスクが非常に高くなります。また、一酸化炭素を除去する排気ガス浄化装置が車には装着されていますが、車室内の温度が一定以上ないと動作しない仕組みのため、大雪で立ち往生した際には機能しません。

また、ワイパーの下にある外気導入口まで雪で埋もれると、さらにリスクが高まります。

一酸化炭素は無臭で色もなく、目に染みるなどの刺激もないため、車内に一酸化炭素が増えている状態になかなか気付けません。異変に気付くのは、頭痛や吐き気などの症状が出てからというケースが多いので、一酸化炭素が増えないよう事前に防ぐことが大切です。

なお、雪で排気口が埋もれた場合以外にも、車庫や屋内などの換気が悪い場所での駐車、仮眠・車中泊などで長時間の駐車をする場合は、一酸化炭素中毒の恐れがあります。なるべくエンジンを切っておくなどの対策を心がけましょう。

一酸化炭素中毒になるまでの時間

JAFのユーザーテスト(注1)によると、排気口の周りに雪が積もって車のボンネットまで雪で覆った場合、車内の一酸化炭素濃度は、16分後に400ppm、22分後に1,000ppmまで上昇しました。

また、LPガス安全委員会のデータ(注2)では、一酸化炭素濃度が400ppmの場合は1時間〜2時間程度で頭痛が起き、1,000ppmの場合は2時間で失神する基準値をオーバーします。ただし、この基準は一般的な成人の場合であり、幼児や高齢者、疾患を持っている方だと、さらに短時間で症状が出ることもあります。

以上のことから、降雪や積雪によって排気口が埋まってしまった場合は、少しの時間でも油断しないことが大切です。

  1. 出典:LPガス安全委員会「CO中毒事故を防ぐために」
  2. 出典:JAF「[Q]雪で埋まった場合の一酸化炭素中毒の危険性とは?」

大雪で車が立ち往生したときはこまめな除雪を

大雪で車が立ち往生してしまった場合は、排気口周辺をこまめに除雪しましょう。ここでは大雪で車が立ち往生した際の注意点を詳しく解説します。

立ち往生時の注意点(1)除雪の範囲は広めにする

大雪で車が立ち往生した時の除雪のポイント

排気口周辺を除雪するときは、まずしっかりと周辺の安全を確保します。

これからも雪が降り続け、立ち往生が解消しないという事態を想定して、少し広めに除雪しましょう。広めに除雪することで、雪を避ける場所がすぐになくなるのを防げます。少なくとも1つ以上のドアが開閉できるよう、運転席のドア付近の除雪も行ってください。

除雪のためのスコップやシャベルを持ち合わせていない場合は、周囲に車がいないか確認し、道具を借りるなどの協力を仰いで除雪を行ってください。

立ち往生時の注意点(2)体温が下がらないようにする

除雪の際は、体温が下がってしまい体力を奪われてしまいがちです。上着などを羽織ったうえで軍手やゴム手袋などをつけて行いましょう。また、除雪ができている限りは、エンジンをかけて車内の温度を保ったほうが安全です。

もし、毛布などを携帯していて暖房を入れずに防寒できるのであれば、燃料を節約するためにエンジンをかけず燃料を節約する方法もあります。燃料を節約しておけば、立ち往生が解消した際にすぐに動くことができます。とはいえ、高速道路などで立ち往生している場合は、燃料が補給できるケースも多くあります。燃料の節約を意識しすぎて身体が冷えないように注意してください。

エンジンをかけるかどうかの判断は、周囲の状況に応じて行いましょう。

なお、防寒がどうしても難しい場合は、除雪の際と同様、すぐに周辺の車に協力を仰ぎましょう。山道などで周りに車がおらず協力を得られない場合は、すぐにロードサービスに連絡してください。

立ち往生時の注意点(3)換気を定期的に行う

除雪が間に合っていてエンジンをかけている場合でも、一酸化炭素中毒を防ぐために定期的に窓を開け、換気を行ってください。

一酸化炭素中毒の症状である頭痛や吐き気などが少しでもある場合は、すぐにエンジンを止めて換気を行いましょう。

体力の限界や、除雪ペースが間に合わないほどの降雪などで、マフラーやドアの周辺を除雪し続けることが難しい場合は、一酸化炭素中毒防止のため、エンジンを切る必要があります。エンジンを切る際は、毛布や防寒具などで可能な限りの防寒対策を行うようにしましょう。

大雪の日に運転する場合、車に準備しておくべきもの

窓に積もった雪をかく人

大雪の日はできる限り車で移動しないことが大切です。トラブルを避けるためには、不要不急な外出を控えることが一番の対策になります。

しかし、どうしても大雪の日に車を運転しなければならないときは、立ち往生のリスクも踏まえ、以下の道具を車に積んで準備しておきましょう。

必須の道具 できれば準備したい道具
  • タイヤチェーン
  • シャベル・スコップ
  • 毛布やカイロなどの防寒具
  • 牽引ロープ
  • モバイルバッテリー
  • 軍手・ゴム手袋
  • 非常食や水
  • ジャッキ
  • スノーブラシ・スクレイパー(氷を削り取るヘラのような道具)
  • 解氷材
  • ブースターケーブル(バッテリー上がりの際にエンジンを始動させるためのケーブル)
  • 長靴
  • 懐中電灯

上記に加え、出発時には万一の立ち往生を想定して、ガソリンを満タンにしておきましょう。

上記の道具の一覧を見ると、準備すべきものが多く感じられるかもしれませんが、高速道路や山間部などでは一日以上立ち往生することもあります。
念には念を入れて事前にしっかりと準備すれば、もしものときに自分の身を守ることにつながります。

まとめ

大雪時の立ち往生は、一酸化炭素中毒になるリスクがあり、一歩間違えれば命にも関わります。

一酸化炭素中毒を引き起こす一酸化炭素は排気ガスに含まれており、無色・無臭で目が染みるなどの目立った刺激もありません。そのため、排気ガスが車内に入らないように予防が大切です。

大雪で立ち往生した際は、マフラーやドア周辺を広めに除雪し、排気ガスが車内に入らないようにしましょう。除雪の際は、防寒対策も十分に行い、定期的に換気して安全を確保してください。

車が立ち往生した際は、除雪や換気など適切な対応をとり、一酸化炭素中毒には十分にお気をつけください。


  • 本記事の内容は、大雪時の一般的な対応方法です。大雪時、実際に立ち往生となった場合は、周囲の状況も確認し、ロードサービスや道路管理者の指示に従って対応を行ってください。

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