大型免許とは?取得・教習所の費用や条件、利用できる補助金・助成金などを解説

2021年12月更新

大型トラック

自動車免許にはさまざまな種類がありますが、大型免許を取得することで、道路法内で車両総重量や最大積載量の制限なく、大きな自動車を運転できるようになります。

本記事では、大型免許の概要や取得条件、取得にかかる費用、利用できる補助金などについて解説します。大型免許の取得によって仕事の幅を広げたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

大型免許とは

大型免許とは、「大型自動車」に分類される車を運転できる免許のことで、正式名称を「大型自動車第一種免許」「大型自動車第二種免許」といいます。

大型自動車とは、車両総重量11t以上、最大積載量6.5t以上、乗車定員30人以上の自動車です。バス・トラック・ダンプカー・タンクローリー・ミキサー車などが、大型自動車に該当します。

大型自動車を日本の公道で運転するには、大型自動車第一種免許が必要です。ただし、旅客を乗せる業務として運転する場合は、大型自動車第二種免許が必要になります。

大型免許の取得条件

大型免許の取得条件は、普通自動車免許・準中型免許・中型免許・大型特殊免許のいずれかを取得しており、かつ運転経歴が通算3年以上あることです。免許停止の期間がある場合は、その期間を除いて3年経過している必要があります。したがって、大型免許を取得できる年齢は早くても21歳です。

また、普通自動車免許の取得に必要な視力は、原則として両眼で0.7以上、かつ片眼で0.3以上ですが、大型免許を取得するには、両眼で0.8以上、かつ片眼で0.5以上が必要です。そのほかには、深視力検査や聴力、色彩識別などのテストもあります。

大型第二種免許の取得条件

普通自動車免許や中型免許などを取得する場合、第一種と第二種で必要な運転経歴が2年や3年などと異なりますが、大型免許の場合、第一種と第二種どちらも通算3年以上で取得できます。つまり、「第一種の条件は満たしているが、第二種の条件は満たしていない」という状況が発生しません。

大型免許で運転できる自動車

大型免許で運転することができる自動車の種類は、以下のとおりです。

  • 普通自動車(車両総重量3.5t未満、最大積載量2t未満、乗車定員10人以下)
  • 原動機付自転車
  • 小型特殊自動車
  • 準中型自動車(車両総重量3.5t以上7.5t未満、最大積載量2t以上4.5t未満、乗車定員10人以下)
  • 中型自動車(車両総重量7.5t以上11t未満、最大積載量4.5t以上6.5t未満、乗車定員11人以上29人以下)
  • 大型自動車(車両総重量11t以上、最大積載量6.5t以上、乗車定員30人以上)

大型免許の取り方

大型免許を取るまでの流れ

大型免許の取得方法は、普通自動車免許などと基本的には同じで、2種類あります。

自動車教習所に通って教習を受け、運転免許試験場で適性検査のみを受ける方法と、自動車教習所に通わずに運転免許試験場で試験を受ける、いわゆる「一発試験」の2種類です。

自動車教習所に通う

自動車教習所に通って大型免許を取得する場合、学科教習と技能教習を受講して卒業検定に合格し、自動車教習所を卒業後、運転免許試験場で適性検査を受けます。適性検査に合格すれば、大型免許取得となります。

自動車教習所を卒業していれば、普通自動車免許とは異なり、運転免許試験場での学科試験・技能試験がどちらも免除となるのが特徴です。

なお、自動車教習所での教習時間は、保有している運転免許によって下記のように異なります。

大型免許(第一種)を取得する場合の教習時間

保有している免許の区分 技能教習 学科教習
普通自動車免許(AT限定) 34時限 1時限
普通自動車免許(MT) 30時限 1時限
準中型免許5t限定(AT限定) 30時限 1時限
準中型免許5t限定(MT) 26時限 1時限
準中型免許 23時限 なし
中型免許(MT) 14時限 なし
8t限定中型免許(AT限定) 24時限 なし
8t限定中型免許(MT) 20時限 なし
  • 1時限=50分

一発試験を受ける

運転免許試験場で、適性検査・学科試験・技能試験に合格すれば、自動車教習所に通わずに大型免許を取得可能です。これが「一発試験」と呼ばれる方法です。

一発試験では、適性検査と場内試験(仮免許試験)に合格し、路上練習を10時間以上(1日2時間まで×5日以上)行ったうえで本試験に合格、その後、取得時講習を受けることで大型免許を取得できます。

ただし、一発試験の技能試験では普段慣れていない試験場のコースを走行しなければならないため、合格率は低いといわれています。そのため、何度受験しても合格できない可能性があります。自動車教習所と一発試験、どちらの方法にするかは慎重に検討しましょう。

大型免許の取得にかかる費用

自動車教習所のコース

大型免許を取得するための費用の目安について、自動車教習所に通う場合と一発試験を受ける場合に分けて解説します。

自動車教習所に通う場合

自動車教習所に通って大型免許(第一種)を取得する場合、自動車教習所ごとに設定された料金と、運転免許試験場での各種手数料を支払う必要があります。

自動車教習所における大型免許の取得費用は、保有している自動車免許の種類によって異なります。

  • 普通自動車免許(AT限定):35万円〜45万円程度
  • 普通自動車免許(MT):30万円〜40万円程度
  • 準中型免許5t限定(AT限定):30万円〜40万円程度
  • 準中型免許5t限定(MT):25万円〜35万円程度
  • 中型免許:20万円〜25万円程度
  • 8t限定中型免許(AT限定):30万円〜40万円程度
  • 8t限定中型免許(MT):25万円〜30万円程度

運転免許試験場での費用としては、受験料1,550円と免許証交付料2,050円、合計3,600円が必要です。

  • 自動車教習所の費用は監修者の知見による料金相場です。料金は自動車教習所によってそれぞれ異なりますので、目安として参考にしてください。

一発試験を受ける場合

一発試験で大型免許(第一種)を取得する場合、仮免許試験と本試験で以下の費用が必要です。

仮免許試験 本試験
  • 受験料:2,900円
  • 試験車使用料:1,450円
  • 仮免許証交付手数料:1,150円
  • 受験料:4,100円
  • 試験車使用料:2,500円
  • 免許証交付手数料:2,050円

受験料と試験車使用料は受験のたびに支払う必要があり、免許証の交付手数料は仮免許試験と本試験に合格した際に支払います。また、本試験に合格したあとは取得時講習を受けるため、取得時講習受講料17,800円を別途支払う必要があります。

したがって、すべての試験を一度で合格した場合の費用は、31,950円です。

大型免許の取得で利用できる補助金・助成金

大型免許を取得する際、費用の一部が国から支給される補助金や助成金の制度を利用できる場合があります。補助金・助成金の受給資格に該当すれば、免許取得費用の負担を軽減することが可能です。

人材開発支援助成金(若年人材育成訓練)

人材開発支援助成金とは、事業主などが、労働者のキャリア形成を促進するために、訓練中の経費や賃金の一部を国が助成する制度です。業務に関する専門的な知識・技能を習得させる取り組みを計画的に実施している場合に適用されます。人材開発支援助成金のうち、若手の人材育成を目的とするものを、「若年人材育成訓練」といいます。

若年人材育成訓練での経費に対する助成は、原則として対象経費の45%です。たとえば、事業主が労働者に大型免許を取得させたい場合は、自動車教習所などの受講料金の45%が支給されます。賃金に対する助成は1人1時間あたり760円のため、受講時間×760円が支給されます。一定の条件を満たす場合は、対象経費の60%、1人1時間あたり960円です。

若年人材育成訓練の対象となる労働者の主な要件は、雇用保険の適用事業所と雇用契約を締結してから5年以内、かつ年齢が35歳未満と定められています。

教育訓練給付制度

教育訓練給付制度は、働く人による能力開発の取り組みを支援し、雇用の安定化、再就職の促進を目的とする雇用保険の給付制度です。

大型免許を取得した場合は、教育訓練給付制度の一種である「特定一般教育訓練」の対象となります。支給額は、原則として労働者本人が自動車教習所などに支払った教育訓練経費(受講料金)の40%に相当する金額です。ただし、支給額の上限は20万円となっている点に注意してください。また、2021年9月現在で対象となっている自動車教習所は全国で5か所のみのため、お住まいの地域での利用が難しいケースもあります。

一般教育訓練給付金の対象となる主な要件としては、以下の2点があります。

  1. 一般教育訓練(自動車教習所の教習など)の受講開始日において、雇用保険に加入しており、かつ原則として雇用保険の加入期間が3年以上(注1)あること
  2. 一般教育訓練の受講開始日において、雇用保険に加入していない場合は、退職日の翌日から受講開始日までが1年以内であり、かつ原則として過去の雇用保険の加入期間が3年以上(注2)あること

教育訓練給付制度の受給資格を満たしているかどうかは、ハローワークに「教育訓練給付金支給要件照会票」という用紙を提出することで確認可能です。

(注1)(注2)教育訓練給付を初めて受ける場合は1年以上。

  • 出典:厚生労働省「教育訓練給付制度」
  • 制度の要件や支給額などは、記事の執筆時の情報に基づくものです。詳しくはハローワークや雇用主などから説明を受けることをおすすめします。

まとめ

大型免許があれば、車両総重量や最大積載量の制限なく、大型トラックなどを運転できます。大型免許を取得するには、自動車教習所を卒業して運転免許試験場で適性検査のみを受ける方法が一般的です。一発試験という方法もありますが、何度受験しても合格できない可能性があります。

所属する会社の業務で大型免許を取得する場合や、再就職のために取得する場合は、補助金や助成金の対象になる可能性があります。該当する可能性がある方は、教習を受ける前に会社やハローワークなどに確認してみましょう。

  • 本記事の内容は特段の記載がない限り、大型免許についての一般的な解説です。自動車教習所や運転免許試験場などによって解説内容と異なる場合があります。ご不明点やお気付きの点があった場合は、自動車教習所や運転免許試験場にご確認ください。

鈴木 ケンイチ

記事監修者:鈴木 ケンイチ(すずき けんいち)

日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員
大学卒業後、雑誌編集者を経て独立。自動車専門誌を中心に一般誌やインターネット媒体などで執筆活動を行う。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。レース出場経験あり。


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