ロータリーエンジンとは?仕組みや構造、メリット・デメリット、水素エンジンの開発で注目が集まっている理由を解説

2022年1月更新

ロータリーエンジンの機構

自動車のエンジンにはいくつかの種類があり、構造や仕組み、走行速度、燃費の良さなどが異なります。なかでも特に根強いファンを持っているエンジンが、ロータリーエンジンです。ロータリーエンジンは、一般的なガソリンエンジンとは異なる方法でエネルギーを作り出す特性を持っています。

近年では、自動車のエネルギーとして、環境に優しい水素を活用しようという動きが活発化しており、水素との相性が良いとされるロータリーエンジンへの期待が高まっています。

本記事では、ロータリーエンジンの特徴やメリット・デメリット、エンジンで重要な役割を果たすエンジンオイルの概要、ロータリーエンジンの故障の原因や対処法について解説します。

ロータリーエンジンとは

ロータリーエンジンとは、三角形のおむすび型をした回転子(ローター)が回転することにより発生するエネルギーを利用したエンジンです。「RE」と略されることもあります。

一般的なガソリンエンジン(レシプロエンジン)は、密閉された空間で燃料を爆発させ、その力でピストンを往復させることによって動力を作り出します。往復の直線運動を回転運動に変換して動力としているレシプロエンジンとは異なり、ロータリーエンジンは回転運動をそのまま動力としているため、基本構造がシンプルです。

日本では、自動車メーカーのマツダが積極的にロータリーエンジンの開発を進め、特許を多数所有しています。しかし、2012年に生産されたマツダの「RX-8」を最後に、ロータリーエンジンを搭載したモデルは生産されていません。ロータリーエンジンは燃費が良いとはいいがたく、レシプロエンジンが広く使われているためです。

なお、ロータリーエンジンは、自動車だけでなくバイクにも搭載されていました。ロータリーエンジンを搭載したバイクとしては、スズキの「RE-5」やハーキュレスの「W-2000」が有名です。

構造と仕組み

ロータリーエンジンの構造

ロータリーエンジンは、大きく分けると、まゆ型のハウジングとハウジングの内側にあるおむすび型のローター(回転子)の2つで構成されています。

ハウジングとローターとの間にできた空間で、燃料と空気を混ぜた混合気を燃焼することで膨張圧が発生し、その圧力がローターの軸に作用してローターが回転する仕組みです。この運動が繰り返されることにより、車が走行するエネルギーを作り出します。

ロータリーエンジンの特徴(メリット・デメリット)

ロータリーエンジンには、下記のようなメリット・デメリットがあります。

メリット デメリット
  • 軽量かつコンパクト
  • 低振動かつ低騒音
  • 排気量に対し高出力
  • アクセルレスポンスの良さ
  • オクタン価(注)の低いガソリンでも効率的に動く
  • 燃費が悪い
  • 排気音が大きい
  • 低速トルクが少ない
  • 熱効率が悪い
  • エンジンオイルの消費が激しい
  • オクタン価:ノッキング(異常燃焼)の起こりにくさを示す数値

ロータリーエンジンにはいくつかのデメリットがある一方で、独特のエンジン音や加速の心地良さがあることから、生産が終了した現在でも根強い人気があります。

ロータリーエンジンのエンジンオイルについて

ロータリーエンジンは、ハウジング内の潤滑のためにエンジンオイルが欠かせません。燃料と一緒にエンジンオイルも燃焼させる仕組みのため、エンジンオイルが通常よりも高温になりやすい特徴があります。よってロータリーエンジンを搭載している車は、ラジエーターの下にオイルクーラーを組み込むことで、エンジンオイルの温度を下げています。

また、ロータリーエンジンは高出力のため、エンジンの熱を吸収するエンジンオイルの役割が大きくなります。品質の低いエンジンオイルは、故障や寿命を縮めることにつながるので、メーカー指定・推奨のエンジンオイルを使用しましょう。

ロータリーエンジンの故障の原因と対処法

ロータリーエンジンが故障する原因の多くは、カーボンデポジットによる不具合か、コンプレッションの低下です。ここでは、それぞれの現象が発生する原因と対処法について解説します。

カーボンデポジット

カーボンデポジットとは、エンジンオイルが燃焼した際に発生する燃えカスのことです。カーボンデポジットがエンジンの部品に付着すると、動きを阻害する原因になります。カーボンデポジットが発生しやすいエンジンオイルは、ポリマーと呼ばれる粘度を高める添加物が多く配合されています。

カーボンデポジットによる故障のリスクを下げるためには、メーカー指定の高品質なエンジンオイルを使用し、こまめにエンジンオイルやフィルターの交換を行うことが大切です。

コンプレッション(燃焼質の最高圧力)の低下

コンプレッションの低下も、ロータリーエンジン特有のトラブルです。通常、ハウジングとローターの間にある空間(燃焼室)では十分な気密性が保たれていますが、ススなどの異物が混入すると気密性が低くなり、燃焼室の圧力が低下します。これにより、エンジンの始動が悪くなるなどの症状が現れます。

コンプレッションが低下している場合は、エンジンを分解して整備、修理するオーバーホールを行うか、エンジンそのものの交換が必要です。ただし、交換用のロータリーエンジンはあまり多く生産されておらず、基本的にはオーバーホールで対処することになります。ロータリーエンジンのオーバーホールは専門知識を要するため、ロータリーエンジン搭載車の修理に詳しい専門店に依頼しましょう。

自動車は長く乗っていると故障が増えていきます。かかりつけの専門店を見つけておくと、もしものときに安心です。

水素エンジンの開発でロータリーエンジンに再度注目が集まっている理由

環境に良い自動車のイメージ

2012年に生産を終了したマツダの「RX-8」以降、ロータリーエンジンは過去の技術として扱われていましたが、近年水素エンジンの開発が進むにつれてロータリーエンジンに再び注目が集まっています。

現在、日本では温室効果ガスの排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」の達成に向け、電気自動車(EV)の開発が進んでいます。その開発と同時に進められているのが、エンジンを搭載しながら二酸化炭素を排出しない、水素を燃料としたエンジンの開発です。

水素はガソリンよりも非常に着火しやすく、レシプロエンジンではバックファイア(過早着火)と呼ばれる現象が起きやすいため、これまでレシプロエンジンによる水素燃料の実用化は難しいとされてきました。

その点、ロータリーエンジンは、水素を燃料とした場合でもバックファイアが起きにくい構造です。クリーンエネルギー活用が叫ばれる昨今、水素ロータリーエンジンの開発には、期待が高まっています。

また、水素ロータリーエンジンを発電機として使用し、電気で車を駆動させる「レンジエクステンダーEV」も注目を集めています。ロータリーエンジンはレシプロエンジンと比較して軽量・コンパクト・低騒音・低振動のため、モーター走行と相性が良く、発電用エンジンとして電気自動車に搭載する開発も進められています。

まとめ

ロータリーエンジンの動力は、まゆ型のハウジング内をおむすび型のローターが回転して作り出しています。エンジンオイルの消費が激しい、燃費性能が低いなどの課題はありますが、コンパクトで高出力なうえに、独特のエンジン音や走りの特性から多くのファンを魅了してきました。

2012年を最後に、ロータリーエンジンを搭載した自動車の生産は行われていませんが、シンプルな構造・軽量・低振動・水素燃料との相性の良さなどから、近年では水素ロータリーエンジンの開発に期待が高まっています。カーボンニュートラルな社会を目指すうえで、ロータリーエンジンは今後注目のエンジンといえるでしょう。

  • 本記事の内容は特段の記載がない限り、2021年8月現在での一般的なロータリーエンジンの解説です。車種やメーカーによって解説内容と異なる場合があります。ご自身の車でご不明点やお気付きの点があった場合は、メーカーや整備工場にご確認ください。なお、開発状況などについては変更となる場合があります。

小西 伸二

記事監修者:小西 伸二(こにし しんじ)

保有資格:1級小型自動車整備士・自動車検査員・2級/3級ガソリン整備士

高校卒業後、自動車メーカーの生産工場に就職。自動車整備士に憧れ、大阪の小さな修理工場で働きながら、自動車にまつわるさまざまな資格を取得。現在も自動車整備の仕事に携わっている。


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