ジュニアシートの着用義務はいつからいつまで?年齢のほか、種類ごとの特徴と選び方のポイントを解説

2023年3月更新

車の後部座席に取り付けられたジュニアシート

新生児や乳児を車に乗せる場合、体をしっかりとホールドできるチャイルドシートが欠かせません。しかし、子どもが成長すると、チャイルドシートを嫌がる、そもそもチャイルドシートに座れなくなるといったケースも出てくるでしょう。そこで必要になるのが、チャイルドシートからジュニアシートへの切り替えです。

本記事では、ジュニアシートの着用時期や取り付け箇所、タイプごとの特徴と選び方のポイントを解説します。

ジュニアシートはいつから使用する?

チャイルドシートからジュニアシートに切り替えるタイミングについて、法律による厳密な指定などは特にありませんが、子どもの体が大きくなり、チャイルドシートのベルトを苦しがるようになったときなどが一般的です。年齢の目安として、ジュニアシートのメーカーは3歳頃からと案内していることが多いようです。

チャイルドシートからジュニアシートへ切り替える年齢は、設定されているわけではないため、「子どもがより安全に使用できるか?」という観点で判断します。

なお、ジュニアシートは製品ごとに着用を想定した年齢が記載されています。なかには、ジュニアシートとチャイルドシート兼用で1歳から使用できる製品などもあり、メーカーによっても多種多様です。

ジュニアシートはいつまで使用する?

道路交通法第71条3項では、6歳未満の幼児を乗車させる際、疾病などの場合を除いて、幼児用補助装置(チャイルドシートもしくはジュニアシート)を使用しなければならないと義務付けられています。

自動車の運転者は、幼児用補助装置(中略)を使用しない幼児を乗車させて自動車を運転してはならない。ただし、疾病のため幼児用補助装置を使用させることが療養上適当でない幼児を乗車させるとき、その他政令で定めるやむを得ない理由があるときは、この限りでない。

引用:e-Gov法令検索「道路交通法第71条3項」

そのため、成長によってチャイルドシートやジュニアシートがきつくなったとしても、少なくとも6歳になるまでは使用しなければなりません。

「チャイルドシートに入らないほど体が大きくなったら、シートベルトだけでも良いのではないか?」と思われる方もいますが、シートベルトにも身長基準が設けられているため注意が必要です。

シートベルトを安全に着用できるとされる身長は、団体やメーカーなどによって異なりますが、JAFでは140cm以上(注1)、トヨタ 交通安全センターでは135cm以上(注2)、ホンダでは150cm以上(注3)の身長を必要としており、おおむね140cm前後が目安です。

一方、文部科学省の「令和2年度学校保健統計調査」(注4)によると、6歳の平均身長は男子で117.5cm、女子で116.7cmです。よって子どもが6歳の時点では、シートベルトを安全に着用できる身長には達していないケースがほとんどでしょう。

なお、140cm前後の身長になる年齢は、10歳が目安です。10歳の男子の平均身長は140.1cm、女子の平均身長は141.5cmとなっています。もちろん、数値はあくまで平均値のため、実際の子どもの成長に合わせて、ジュニアシートやシートベルトを正しく着用してください。

警察庁のデータ(注5)によると、チャイルドシートやジュニアシートを着用していると事故発生時の致死率が0.07%なのに対し、未着用時は0.35%まで上昇しています。この点からも、チャイルドシート・ジュニアシートを確実に正しく着用することが大切です。


自動車同乗中(6歳未満幼児)のチャイルドシート使用有無別致死率比較(平成29年〜令和3年合計) チャイルドシート適正使用 0.07%、チャイルドシート不使用 0.35%(約5.3倍)

  1. 出典:JAF「ジュニアシートを正しく使おう」
  2. 出典:トヨタ交通安全センター「安全のススメ 子どもにチャイルドシートを」
  3. 出典:ホンダ「チャイルドシートを知ろう!」
  4. 出典:文部科学省「学校保健統計調査−令和2年度(確定値)の結果の概要」
  5. 出典:警察庁「子供を守るチャイルドシート」

ジュニアシートの取り付けはどの座席がおすすめ?

ジュニアシートに座る男の子

ジュニアシートの安全性能を十分に発揮させるには、正しい場所に設置することが重要です。ここではジュニアシートを取り付ける際に、どの座席を選ぶべきかを解説します。

基本は後部座席

国土交通省と警察庁が推奨する基本的なジュニアシートの取り付け場所は、後部座席です。取り付け場所については、取扱説明書にも記載されているので、よく確認してから設置しましょう。

助手席に取り付けるのはアリ?

警察庁の「平成28年における交通死亡事故について」(注)のデータを見ると、座席別死者数では助手席が最も少ないため、助手席が最も安全なように見えます。しかし、ジュニアシートを使用する子どもの場合は、この限りではないことに注意が必要です。

事故が発生して助手席でエアバッグが作動すると、座席とエアバッグの間で子どもの体が圧迫されてしまい、かえって危険な場合があります。作動したエアバッグで胸を圧迫されたことで、助手席に座っていた3歳児が死亡するという事故も実際に発生しています。

やむをえず助手席にジュニアシートを取り付ける場合は、エアバッグによって圧迫されてしまうリスクを抑えるために、座席を一番後ろまで下げるようにしましょう。

ジュニアシートの種類ごとの特徴

国土交通省では、ジュニアシートを含むチャイルドシートを「乳児用・幼児用・学童用」の3種類に分類しています(注)。このうち、幼児用と学童用がジュニアシートに該当するため、ここでは幼児用と学童用の2つについて、特徴をご紹介します。

幼児用(背もたれ・ヘッドレストあり)

幼児用のジュニアシート

幼児用のジュニアシートの特徴は、背もたれやヘッドレストが装着されていることです。背もたれによって体を支え、ヘッドレストによって頭部を保護します。

形状はチャイルドシートに似ていますが、座席や子どもの体格に合わせて背もたれやヘッドレストを調節できることが多く、しっかりと前を向いて座りやすいことがメリットです。

幼児用のジュニアシートには、1歳頃から使用できるモデルや、幅広い年齢で使用できる、チャイルド&ジュニアシートとして販売されているモデルもあります。

また、車のシートベルトを使って固定するものや、ISOFIX(アイソフィックス)と呼ばれる金具で座席に固定するものなど、製品によって装着方法もさまざまです。

なお、幼児用ジュニアシートの値段の目安は、15,000円〜40,000円程度です。

学童用(ブースターシートタイプ)

学童用(ブースターシートタイプ)のジュニアシート

学童用は、座席に高さを持たせるための座面を中心とした形状で、ブースターシートタイプとも呼ばれます。座面に背もたれが付属するものと、座面のみのものがあります。

学童用のジュニアシートの主な目的は、子どもがじっとしたまま車に乗れるようになった際、座面によって座席を高くし、大人用のシートベルトを正しく着用できるようにすることです。

子どもが小さいうちは背もたれのあるものを装着し、成長に合わせて座面のみの使用へと移行します。幼児用のジュニアシートが小さくなってから、子どもの身長が140cm前後になるまでの期間に、学童用のジュニアシートを使うとよいでしょう。

なお、学童用ジュニアシートの値段の目安は、背もたれが付属するものが10,000円〜20,000円、座面のみのものが3,000円〜5,000円程度です。

ジュニアシートの選び方のポイント

車の後部座席に取り付けられたジュニアシート

ジュニアシートはメーカーや製品によってさまざまな種類があるため、何を選べば良いか迷ってしまうかもしれません。ここでは、ジュニアシートを選ぶ際の参考となる3つのポイントをご紹介します。

年齢・身長・体重など

ジュニアシートを安全に使用するには、製品ごとに定められた条件をきちんと守ることが大切です。なかでも重要な条件は、年齢・身長・体重です。長く使えるからといって、それらの条件を満たさずに製品を使用すると、万一の事故が発生した際、十分な安全性能が発揮されず、大きな怪我にもつながりかねません。

ジュニアシートは子どもの体を守るために装着するものなので、安全性が十分でなければ本末転倒です。対象となる年齢・身長・体重などの表示をあらかじめ確認し、適合する製品を選ぶようにしましょう。店舗でジュニアシートを購入する場合は、車のシートを模した座席が準備されていることが多いため、実際に着用してみて安全に使用できるか確認することをおすすめします。

安全基準

国土交通省の安全基準を満たしたジュニアシートなどの製品(2006年10月1日以降に指定を受けた製品)には、「Eマーク」と呼ばれる認定マークが添付されています。Eマークには、製品を認可した国を示す番号(日本は43)や、対象とする体重の範囲などの印字があります。ジュニアシートを選ぶ際は、Eマークの表示を必ず確認しましょう。

Eマークの見本

また、国土交通省と独立行政法人自動車事故対策機構は、市販のチャイルドシートやジュニアシートを対象に、前面衝突試験と使用性評価試験という2つの試験を実施しており、その結果に基づいた評価(注)を公表しています。

製品に対する評価には、下記のように前面衝突試験の評価を「優」「良」などのマークで表したものや、使用性評価試験を数値化・グラフ化して表したものがあります。安全性の観点から、両方の試験結果に基づく評価が高いジュニアシートを選ぶとよいでしょう。

2014年までの前面衝突試験と使用性評価試験の評価の見本
2015年以降の前面衝突試験と使用性評価試験の評価の見本

洗いやすさ・素材

ジュニアシートが洗いやすいことや、通気性の良い素材であることも重要です。子どもは汗をかきやすいだけでなく、車の中でおやつや食事を摂る機会もあります。汗や食べ物などで汚れた際に、メンテナンスがしやすいかどうかも選ぶうえでの大事なポイントです。

また、ジュニアシートのクッション部分がメッシュ素材であれば、通気性が良く、汗をかきづらくなります。子どもが快適に座れるかという点にも着目しましょう。

まとめ

チャイルドシートからジュニアシートに切り替えるタイミングは、子どもにとってチャイルドシートが使いにくくなったときで、ジュニアシートのメーカーはおおむね3歳を目安としています。

ジュニアシートの種類には、頭までカバーする背もたれのある幼児用と、座席に高さを持たせる学童用があります。ジュニアシートを選ぶ際は、対象となる身長や体重などの条件を満たすこと、国土交通省の安全基準を満たすこと、洗いやすく通気性の良い素材を選ぶことを意識しましょう。

子どもの安全を守るために、適切なジュニアシートを使用し、万一の事故の際に被害を最小限に抑えられるよう正しく着用するようにしてください。

  • 本記事の内容は特段の記載がない限り、一般的なジュニアシートの解説です。メーカーなどによって解説内容と異なる場合があります。ご自身のジュニアシートでご不明点やお気付きの点があった場合は、メーカーなどにご確認ください。

鈴木 ケンイチ

記事監修者:鈴木 ケンイチ(すずき けんいち)

日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員
大学卒業後、雑誌編集者を経て独立。自動車専門誌を中心に一般誌やインターネット媒体などで執筆活動を行う。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。レース出場経験あり。


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