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一部の車種に集中する自動車盗難被害と最新手口に注意
一般社団法人 日本損害保険協会の調査では、「プリウス」「ハイエース」「ランドクルーザー」「アクア」(ともにトヨタ)が3年連続で盗難被害上位を独占しています。これらの車種が狙われやすい理由と最新の車両窃盗の手口について解説していきます。
「プリウス」「ハイエース」などに車両盗難被害が集中
車両盗難の被害が一部の車種に集中しているという事実をご存知でしょうか。下記に一般社団法人 日本損害保険協会が実施・公表した「第18回自動車盗難事故実態調査」の結果を抜粋して掲載したので確認してみてください。2014年11月調査以降、車両盗難被害上位4車種が「プリウス」「ハイエース」「ランドクルーザー」「アクア」(ともにトヨタ)に固定されており、2015年、2016年の調査ではこれら4車種で盗難被害件数の50%を超えています。
これらの車種が狙われやすいのは、決して車両自体に欠陥があるからではありません。むしろ車両としての価値が高いからだと考えるべきです。国内新車販売で上位を走る「プリウス」「アクア」はもちろんですが、「ランドクルーザー」「ハイエース」に関しては、海外での人気の高さがポイントです。丈夫かつ品質に定評のあるトヨタの実用系車種は、発展途上国を中心に高値で取り引きされています。この需要を見込んだ窃盗団が、不法輸出・転売を目的に車両窃盗を行っていると考えられているのです。また、人気の車種は解体してパーツを転売しやすいという側面もあります。
- 車名別盗難状況-車両本体盗難
2014年11月調査 | |||
---|---|---|---|
順位 | 車種 | 件数 | 構成比 |
1 | プリウス | 70 | 18.8% |
2 | ハイエース | 40 | 10.8% |
3 | ランドクルーザー | 39 | 10.5% |
4 | アクア | 23 | 6.2% |
5 | セルシオ | 17 | 4.6% |
6 | クラウン | 14 | 3.8% |
7 | レンジャー | 10 | 2.7% |
フォワード | 10 | 2.7% | |
9 | レクサス | 8 | 2.2% |
10 | ファイター | 7 | 1.9% |
2015年11月調査 | |||
---|---|---|---|
順位 | 車種 | 件数 | 構成比 |
1 | プリウス | 62 | 19.9% |
2 | ハイエース | 55 | 17.6% |
3 | ランドクルーザー | 23 | 7.4% |
4 | アクア | 18 | 5.8% |
5 | クラウン | 15 | 4.8% |
6 | レクサス | 12 | 3.8% |
7 | キャンター | 7 | 2.2% |
ハリアー | 7 | 2.2% | |
9 | アルファード | 6 | 1.9% |
セルシオ | 6 | 1.9% |
2016年11月調査 | |||
---|---|---|---|
順位 | 車種 | 件数 | 構成比 |
1 | プリウス | 59 | 19.7% |
2 | ハイエース | 43 | 14.3% |
3 | ランドクルーザー | 28 | 9.3% |
4 | アクア | 27 | 9.0% |
5 | レクサス | 16 | 5.3% |
6 | インプレッサ | 14 | 4.7% |
7 | クラウン | 12 | 4.0% |
8 | アルファード | 7 | 2.3% |
カローラ | 7 | 2.3% | |
10 | スカイライン/フォワード | 6 | 2.0% |
- 出典:第18回自動車盗難事故実態調査(一般社団法人 日本損害保険協会)
- クラウンにはマジェスタ、エステートを含む/ランドクルーザーにはプラドを含む/スカイラインにはGTRを含む/マークXにはクレスタ、チェイサー、マークIIを含む/ハイエースにはレジアス、グランビアを含む
車両盗難被害に最も遭いやすいのは自宅の屋外駐車場
続いて、車両盗難被害がどこで発生しているかを見ていきましょう。下記の表も「第18回自動車盗難事故実態調査」の結果から抜粋したものです。全国で最も車両盗難が起きているのは「自宅(屋外)」でした。僅差で「契約駐車場(屋外)」が続いています。このどちらにも共通するのが、侵入が容易かつ、夜間に長時間駐車する可能性が高いということ。自宅や自宅近くに借りている駐車場は安全と考えてしまいがちですが、屋外である限り盗難リスクは高いようです。「プリウス」「アクア」などの盗難被害に遭いやすい車種に乗っている方は、施錠の徹底はもちろん、カーセキュリティ用品を導入したり、駐車場への侵入を防ぐ工夫をしたほうがよいかもしれません。
- 盗難発生場所-車両本体盗難
盗難発生場所 | 台数 | 構成比 |
---|---|---|
自宅(屋外) | 107 | 35.7% |
契約駐車場(屋外) | 104 | 34.7% |
その他 | 35 | 11.7% |
通勤先駐車場 | 26 | 8.7% |
自宅(屋内) | 12 | 4.0% |
契約駐車場(屋内) | 7 | 2.3% |
コンビニ・スーパー駐車場 | 6 | 2.0% |
路上 | 3 | 1.0% |
空き地 | 0 | 0.0% |
- 出典:第18回自動車盗難事故実態調査(一般社団法人 日本損害保険協会)
短時間の駐車でも油断は禁物!「リレーアタック」に注意
短時間の駐車なら安全というわけではありません。スマートキーの弱点を突いた新手の窃盗手口「リレーアタック」が広まり始めているからです。スマートキーとは、キーを身に付けて車に近づくだけで自動的にドアを開錠したり、ボタン1つでエンジンを始動できるようにするシステムです。車とキーが微弱な電波をやり取りし、認証を行うことでこの機能が実現されています。スマートキーの有効範囲は通常1メートル程度なので、遠くにある車のロックが勝手に解除されてしまうといった心配もありませんでした。
リレーアタックは、キーが発信する電波を悪用する車両窃盗の手法です。まずは、犯人のひとりが車から離れたドライバーに接近してキーが発信している電波を特殊な機器で受信し、その電波を増幅して別の犯人へと送信します。電波を受け取ったふたり目の犯人は中継役となり、また別の犯人へと電波を送ります。このようにリレーの要領で、車のそばに待機している窃盗の実行犯までキーが発している電波を送るのです。車のそばまで電波が届けば、その電波を使ってロックを解除したり、エンジンを始動することも可能。であるため、あっという間に車を盗むことができるわけです。
スマートキーを使う限り、リレーアタックの被害に遭うリスクは常に身近にあります。駐車をした直後は、愛車と自分の周りに怪しい人物がいないかを確認する習慣をつけたほうがよいかもしれません。
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