中型免許とは?取得費用や運転できる車・トラック、限定解除の方法などを解説

2021年12月更新

中型トラック

運転できる自動車の種類は保有している運転免許によって異なり、4tトラックやマイクロバスの運転には中型免許が必要です。

運転免許の区分は、道路交通法の改正によって平成19年に中型免許、平成29年に準中型免許が新設されました。改正の影響を受け、現在取得できる中型免許のほか「8t限定中型免許(旧普通自動車免許)」もあるため、運転できる自動車に誤解が生じやすいのが中型免許です。

本記事では、中型免許で乗れる自動車や取得費用、8t限定中型免許(旧普通自動車免許)の限定解除の方法などを解説します。

中型免許とは

中型免許とは、「中型自動車」に分類される自動車を運転できる免許です。正式名称は「中型自動車第一種運転免許」または「中型自動車第二種運転免許」といい、第一種は公道で中型自動車を運転するための一般的な免許、第二種は旅客を中型自動車で運送するための免許です。

中型自動車とは、車両総重量7.5t以上11t未満、最大積載量4.5t以上6.5t未満、乗車定員11人以上29人以下の自動車を指します。トラックのほかにマイクロバス(乗車定員29人以下)なども運転可能です。

中型免許取得の条件

中型免許を取得するには、普通自動車免許・準中型免許・大型特殊免許のいずれかを取得し、その免許を取得してから通算2年以上の運転経歴が必要です。そのため、中型免許を取得できるのは、早くても20歳になってからです。なお、免許停止の期間がある場合は、その期間を除いて2年以上経過していなければなりません。

普通自動車免許の場合、必要な視力は両眼で0.7以上、左右それぞれで0.3以上ですが、中型免許では両眼で0.8以上、左右それぞれで0.5以上が必要です。そのほかには、深視力検査(注)や聴力、色彩識別などのテストもあります。

  • 深視力検査:動く物に対する遠近感や立体感を図る視力検査のこと

中型第二種免許取得の条件

中型第二種免許を取得するには、普通自動車免許・準中型免許・中型免許・大型免許・大型特殊免許のいずれかの第一種免許を取得していて、その免許を取得してから運転経歴が通算3年以上ある、もしくは他の第二種免許を取得している必要があります。

第一種免許を取得してから通算3年以上経過している必要があるため、運転免許の区分に関わらず、第二種免許を取得できる最低年齢は21歳です。

中型免許で運転できる自動車

中型免許で運転することのできる自動車は、以下のとおりです。

  • 普通自動車
  • 原動機付自転車
  • 小型特殊自動車
  • 準中型自動車(車両総重量7.5t未満、最大積載量4.5t未満)
  • 中型自動車(車両総重量7.5t以上11t未満、最大積載量4.5t以上6.5t未満)

8t限定中型免許(旧普通自動車免許)とは

平成19年6月1日以前に普通自動車免許を取得している場合、その免許は「8t限定中型免許(旧普通自動車免許)」と呼ばれます。8t限定中型免許(旧普通自動車免許)は、車両総重量8t未満、最大積載量5t未満、乗車定員10人以下の自動車を運転できます。

8t限定中型免許(旧普通自動車免許)を保有している人が中型免許を取得する場合は、限定解除という手続きにより、通常よりも短い教習時間での取得が可能です。

5t限定準中型免許とは

平成19年6月2日から平成29年3月11日の間に普通自動車免許を取得している場合、その免許は「準中型5t限定」と呼ばれます。準中型5t限定は車両総重量5t未満、最大積載量3t未満、乗車定員10人以下の自動車を運転できます。

8t限定中型免許(旧普通自動車免許)のような限定解除の方法はありませんが、自動車教習所に通う際は一般的に教習時間が短くなり、費用も安くなります。

中型免許の取り方

中型免許を取るまでの流れ

中型免許の取得方法には、自動車教習所に通って卒業検定に合格し、運転免許試験場で適性検査のみを受ける方法と、自動車教習所に通わずに運転免許試験場で試験を受ける、いわゆる「一発試験」の2種類があります。

自動車教習所に通う

自動車教習所に通って中型免許を取得する場合、まずは自動車教習所で学科教習・技能教習を受講します。所定時間の教習を受けて卒業検定に合格すると、自動車教習所は卒業となり、運転免許試験場で適性検査を受けて合格すれば、中型免許を取得できます。

普通自動車免許などとは異なり、中型免許は自動車教習所を卒業していれば、運転免許試験場での試験は免除され、適性検査にのみ合格すれば取得できます。

なお、中型免許の取得に必要な教習時間は、保有している免許の区分によって下記のように異なります。

<中型免許(第一種)を取得する場合の教習時間>

保有している免許の区分 技能教習 学科教習
普通自動車免許(AT限定) 19時限 1時限
普通自動車免許(MT) 15時限 1時限
5t限定準中型免許(AT限定) 15時限 1時限
5t限定準中型免許(MT) 11時限 1時限
準中型免許 9時限 なし
  • 1時限=50分

一発試験を受ける

一発試験とは、自動車教習所に通わずに、運転免許試験場のみで試験を受ける方法です。合格すれば、自動車教習所に通わない分、費用を抑えることができます。

一発試験では、まず適性検査と仮免許試験に合格し、路上練習を5日間以上行います。そのうえで本試験に合格し、取得時講習を受けると中型免許が取得できます。

なお、自動車教習所の試験では、普段使用している教習所のコースを走行しますが、一発試験では慣れていないコースを走行しなければなりません。一発試験の難度は高く、合格率が低いため、何度受験しても合格できない可能性があります。

中型免許の取得にかかる費用

中型免許の取得にかかる費用について、自動車教習所に通う場合と、一発試験を受ける場合に分けて解説します。

自動車教習所に通う場合

自動車教習所に通って取得する場合、自動車教習所ごとに設定された費用と、運転免許試験場での各種手数料を支払う必要があります。

自動車教習所の費用相場は、保有している普通自動車免許がAT限定の場合、21万円〜27万円程度、MTの場合は17万円〜24万円程度です。

運転免許試験場では、受験料1,550円と免許証交付手数料2,050円、合計3,600円を支払います。

  • 自動車教習所の費用の相場は、監修者の知見による料金相場です。料金は自動車教習所によって異なりますので、目安として参考にしてください。

一発試験を受ける場合

一発試験を受ける場合、仮免許試験と本試験それぞれで以下の費用を支払います。

仮免許試験 本試験
  • 受験料:2,900円
  • 試験車使用料:1,450円
  • 仮免許証交付手数料:1,150円
  • 受験料:4,100円
  • 試験車使用料:2,500円
  • 免許証交付手数料:2,050円

受験料と試験車使用料は受験のたびに支払う必要があります。免許証交付手数料は、仮免許試験と本試験に合格した際に支払います。また、本試験に合格したあとは取得時講習を受けるため、上表とは別に取得時講習受講料として17,800円が必要です。

すべての試験を一度で合格した場合は、31,950円で中型免許を取得できます。

8t限定中型免許(旧普通自動車免許)を限定解除する方法・費用

並べられた中型トラック

2007年6月1日以前に取得した普通自動車免許、いわゆる8t限定中型免許(旧普通自動車免許)の限定解除をするには、自動車教習所に通う方法と、一発試験を受けて合格する方法の2種類があります。

限定解除とは、条件が限定されている免許から、条件が限定されない免許への変更手続きのことです。8t限定中型免許を保有している場合、限定なしの中型免許に限定解除すれば、運転できる自動車の車両総重量が8t未満から11t未満に、最大積載量が5t未満から6.5t未満に、乗車定員は10人以下から29人以下に変更されます。

自動車教習所に通う場合

自動車教習所に通って限定解除する場合、所定の時間の技能教習を受けます。技能教習は、保有している8t限定中型免許(旧普通自動車免許)がMTの場合は5時限、AT限定の場合は9時限です。

技能教習を受講し、技能審査に合格すれば自動車教習所は卒業です。その後、運転免許試験場で限定解除の審査を受けることで、限定なしの中型免許を取得できます。

自動車教習所に通って限定解除する場合の費用相場は、保有している8t限定中型免許(旧普通自動車免許)がMTであれば約10万円、AT限定であれば約12万円です。

また、運転免許試験場では、審査のために1,400円の手数料が必要です。

  • 自動車教習所の費用は監修者の知見による料金相場です。自動車教習所によってそれぞれ料金は異なりますので、目安として参考にしてください。

一発試験を受ける場合

中型免許の新規取得と同様に、自動車教習所に通わずに、運転免許試験場で一発試験を受けて限定解除する方法もあります。

一発試験を受ける場合、運転免許試験場で実施される技能審査に合格すれば、限定解除が可能です。ただし、技能審査の受験日は限られており、すぐに限定解除の審査を受けられないこともあるため、自動車教習所に通ったほうが早く限定解除できることもあります。

なお、一発試験の費用は、受験料が1,400円、試験車使用料が1,450円で、合計2,850円です。

中型免許の取得で利用できる補助金・助成金

中型免許を取得する際、費用の一部が国から支給される補助金や助成金の制度が利用できる場合があります。補助金・助成金の受給資格に該当すれば、免許取得の費用を抑えることができます。

以下では2021年8月時点で利用が可能な補助金・助成金を紹介します。

人材開発支援助成金(若年人材育成訓練)

人材開発支援助成金とは、事業主が労働者のキャリア形成を効果的に促進し、業務に関連した専門的な知識・技能を習得させるための助成金です。訓練中の経費と賃金の一部が国から事業主に支給されます。

人材開発支援助成金のうち、若年人材育成訓練の支給額は、原則として経費(自動車教習所などの受講料金)の45%です。訓練中の賃金は1人1時間につき760円のため、自動車教習所の受講時間×760円が支給されることになります。一定の条件を満たす場合は、経費の60%、1人1時間あたり960円となります。

若年人材育成訓練の主な受給要件は、雇用保険適用事業所と雇用契約を締結後5年以内であり、かつ年齢が35歳未満の労働者であることです。

教育訓練給付制度

教育訓練給付制度とは、労働者の能力開発の取り組みを支援することで、雇用の安定と再就職を促進することを目的とした、雇用保険の給付制度です。中型免許を取得する場合は、教育訓練給付制度のうち「特定一般教育訓練」の対象になります。

支給額は、原則として受講者本人が自動車教習所など(指定教育訓練実施者)に支払った教育訓練経費の40%に相当します。ただし、支給額の上限は20万円まで、指定の教習所は全国で5か所のみ(2021年9月現在)です。

一般教育訓練給付金の主な受給要件は、以下の2点です。

  1. 一般教育訓練(自動車教習所の教習など)の受講開始日において、雇用保険に加入しており、かつ雇用保険に加入している期間が3年以上(注1)あること
  2. 一般教育訓練の受講開始日において、雇用保険に加入していない場合は、退職日の翌日(雇用保険の被保険者でなくなった日)から受講開始日までが1年以内であり、かつ過去に雇用保険に加入していた期間が3年以上(注2)あること

教育訓練給付制度の受給資格を満たしているかどうかは、ハローワークに「教育訓練給付金支給要件照会票」という用紙を提出することで確認可能です。

(注1)(注2)教育訓練給付を初めて受ける場合は1年以上。

  • 出典:厚生労働省「教育訓練給付制度」
  • 制度の要件・支給額などは、記事の執筆時の情報に基づくものです。詳しくは雇用主やハローワークなどから説明を受けることをおすすめします。

まとめ

中型免許を取得すると、4tトラックやマイクロバスなどの中型自動車を運転できるようになります。

中型免許を取得する方法は、自動車教習所に通って教習を受ける方法と、一発試験を受けて合格する方法の2種類です。一発試験は自動車教習所の費用がかかりませんが、何度受験しても、合格できない可能性があります。8t限定中型免許(旧普通自動車免許)から中型免許に限定解除する場合も、自動車教習所か一発試験のどちらかの方法を選ぶことになります。

会社の業務上の理由などで中型免許の取得が必要な場合、補助金・助成金の対象になる可能性があります。該当すると思われる方は、あらかじめ雇用主やハローワークに確認しましょう。

  • 本記事の内容は特段の記載がない限り、中型免許の取得方法についての一般的な解説です。自動車教習所や運転免許試験場などによって、解説内容と異なる場合があります。ご不明点やお気付きの点があった場合は、自動車教習所や運転免許試験場にご確認ください。

鈴木 ケンイチ

記事監修者:鈴木 ケンイチ(すずき けんいち)

日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員
大学卒業後、雑誌編集者を経て独立。自動車専門誌を中心に一般誌やインターネット媒体などで執筆活動を行う。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。レース出場経験あり。


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