リレーアタックとは?スマートキーの悪用による盗難から車を守る対策方法を解説

2021年2月更新

スマートキーと青の車

テレビやSNS、ニュースサイトで近年話題になっている「リレーアタック」は、車両窃盗の手口の一つです。リレーアタックによる被害は年々増加しており、被害に遭わないためにも手口や対策を知っておきたいところです。

本記事では、リレーアタックの手口の紹介と今すぐにできる対策方法をご紹介します。また、リレーアタック以外のよくある車両窃盗の手口についても解説します。

リレーアタックとは?

リレーアタックは、近年多くの車で採用されている「スマートキー」の仕組みを悪用して車を盗難する手口です。
まずはスマートキーの仕組みをご紹介した上で、リレーアタックの手口をご紹介します。

スマートキーの仕組み

スマートキーの仕組みのイラスト

スマートキーは、従来のように車のキーを鍵穴にさして回す必要がなく、車のキーを持ってドアノブに触れることでロックが解除できます。また、スマートキーを身につけた状態でスタートボタンを押すことで、エンジンをかけることが可能です。(ドアロックの解錠方法やエンジンの始動方法はメーカーや車種によって異なります)

なお、一般的にはスマートキーと呼ばれていますが、メーカーによって名称が異なる場合があります。

従来の車のキーにも、「キーレスエントリーシステム」というキーのボタンを押すことで遠隔操作によって、ドアロックやロック解除ができる機能を備えたものはありました。このシステムは、現在も多くの車種に採用されていますが、スマートキーでは、解錠のためにキーのボタンを押す必要もありません。

スマートキーと車本体には、お互いの電波を認識するための送信機・受信機が設置されています。スマートキーが車から半径1メートル〜1.5メートル程度の範囲に近づくことで、これらの機器が自動的に電波を識別し、ドアロックの解除などが可能になります。

電波は車両ごとに暗号化された固有のものが設定されており、盗難対策として「イモビライザー」というセキュリティシステムとも連携しています。

リレーアタックの手口

便利で防犯性能も高いスマートキーですが、このシステムを悪用した手口がリレーアタックです。

スマートキーが常に発している電波は微弱なもので、本来なら車に近づかなければ認識されることはありません。しかし、特殊な機器を使うと微弱な電波をキャッチして増幅させることができ、この電波を車両まで中継することで、ドアロックの解除やエンジンの始動を可能にしてしまいます。

リレーアタックの手口

多くの場合、リレーアタックは2〜3人が1組になって行われます。まず1人が車から離れた場所でスマートキーを持つ所有者、もしくはスマートキーが置かれている玄関先などに近づいて電波を受信します。受信した微弱な電波は特殊な機器を経由して2人目、3人目と中継され、最後には車のロックを解除するという方法です。

海外では2010年頃に欧州を中心として被害が出始めました。日本では2017年頃から被害が発生し、現在も増加傾向にあります。

なお、盗難された車両は、スマートキーの交換や車の解体などの処理を施されたあとに、海外へ輸出されることが多いようです。

リレーアタックの対策方法

リレーアタックの対策

リレーアタックを防ぐには、以下のような5つの対策があります。

  1. スマートキーを電波が遮断できるケースに入れる
  2. 玄関付近などに鍵を置かない
  3. 節電モードを設定する(一部メーカー)
  4. リレーアタック防止装置を設置する
  5. スマートキーの微弱な電波をオフにする

1.スマートキーを電波が遮断できるケースに入れる

リレーアタックを防ぐ対策として最も簡単なのが、電波を遮断するケースにスマートキーを入れておくことです。車関連用品店舗では電波を遮るポーチや、スマートキー専用のケースが販売されています。

なお、スマートキーが発する電波は微弱なため、金属製の缶などに入れるだけでも簡単に遮断できます。

十分に電波が遮断されているか不安な場合は、ケースや缶に入れたまま車に近づき、実際にドアロックが解除できるか確認してください。解除できない場合は、電波がケースによって遮断されている状態といえます。

2.玄関付近などに鍵を置かない

スマートキーを収納するケースや缶がない場合は、玄関など外に近い場所に鍵を置かないようにします。玄関から離れた部屋や、2階に保管しておきましょう。

スマートキーの電波は、一般的に1メートル〜1.5メートルほどしか届かないため、置き場所を少し変えるだけでも効果があります。

3.節電モードを設定する(一部メーカー)

一部メーカーのスマートキーには、節電モードと呼ばれるスマートキーが電波を発しないようにする機能が搭載されています。

スマートキーの指定のボタンを2回押すなど、特定の操作を行うことで節電モードに切り替わり、電波の発信が止まります。節電モードは、スマートキーのボタンのいずれかを押すことで解除できます。節電モードは、メーカーや車種、年式、グレードなどによって、搭載の有無や操作方法が異なるため、メーカーのホームページなどで確認してください。

4.リレーアタック防止装置を設置する

車の盗難防止対策を専門に行っている業者などでは、リレーアタックを防止するための装置の販売・取り付けなどをしています。リレーアタック防止装置は、特殊な操作を行う必要がなく、これまでどおりスマートキーを使用することが可能です。

ただし、取り付けに費用がかかるほか、車種によっては適合しない場合もあります。装置を購入する前に仕様や費用を十分確認しておきましょう。

5.スマートキーの微弱な電波をオフにする

最終的な手段にはなりますが、メーカーやディーラーに依頼することで、スマートキーの微弱な電波を常にオフにすることも可能です。

ただし、電波が出ていないため、ドアロック解除の際はスマートキーのボタンを操作する必要があります。エンジン始動の際にもスタートボタンに鍵を近づける必要があるため、スマートキーの利便性が大きく損なわれてしまいます。

そのため、まずはケースや缶に入れる方法など、手軽にとれる対策から始めるのがおすすめです。

リレーアタック以外にも知っておきたい最新の盗難手口や被害状況

車の窃盗を行う人

車の盗難を防ぐためには、リレーアタック以外の最新の盗難手口や被害状況も把握することが大切です。ここでは、他の手口とその対策、盗難の被害を受けやすい状況を解説します。

イモビカッター

イモビカッターは、スマートキーや車両ごとに設定されている暗号キーを書き換えられる道具で、本来は整備工場や鍵業者しか持つことが許可されていません。

暗号キーを書き換えることで、持ち主以外の鍵でも簡単にドアを開けられます。慣れていれば1分もかからずに解除できるため、人目につかない場所や夜間であれば怪しまれることなく短時間で盗めてしまいます。

対策としては、「イモビカッターガード」と呼ばれる装置を取り付ける方法があります。イモビカッターガードを取り付けた車にイモビカッターが使われると、警報音が鳴るほか、暗号キーの書き換えができなくなる、エンジンがかからなくなるなどの機能が作動します。

コードグラバー

コードグラバーは、リレーアタックよりもさらに最新の手口です。スマートキーと車でやり取りする電波からキーの情報をコピーし、リレーアタックのセキュリティシステムであるイモビライザーの暗号キーを複製します。

車に近づくことさえできれば、スマートキーも不要で、1人でも盗難ができてしまいます。現状ではタイヤロックなどを利用して、物理的なセキュリティをかけるしか対策の方法がないといわれています。

自動車盗難の被害状況

一般社団法人 日本損害保険協会による2020年の調査(注)では、調査した1か月間での車両本体の盗難件数は茨城県が57件で最も多く、次いで千葉県が32件、愛知県が28件という結果でした。

また、盗難発生場所として、自宅の屋外駐車場が最多の119件で全体の51.3%、次に多いのが、屋外の契約駐車場の53件で全体の22.8%でした。このことから屋外の駐車場は非常に狙われやすいことがわかります。

まとめ

リレーアタックは、現在普及しているスマートキーの仕組みの穴をついた盗難方法で、スマートキーが発する微弱な電波をキャッチして車のロックを解除します。

スマートキーの利便性はやや損なわれますが、対策として有効なのは、スマートキーの電波を遮断するケースや金属製の缶に鍵を入れる、節電モードに設定するといった方法です。
また、玄関から離れた部屋に保管し、外に電波が届かないようにする方法も効果的です。

リレーアタック防止装置やメーカーに依頼して電波をオフに設定する方法もありますが、まずは簡単にできる対策から行ってみてください。

  • 本記事の内容は特段の記載がない限り、一般的なスマートキーを対象にした解説です。車種やメーカーによって解説内容と異なる場合があります。ご自身の車で不明点やお気付きの点があった場合は、メーカーや整備工場にご確認ください。リレーアタックの被害に遭った際には、まずは最寄りの警察署にご相談ください。

鈴木 ケンイチ

記事監修者:鈴木 ケンイチ(すずき けんいち)

日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員
大学卒業後、雑誌編集者を経て独立。自動車専門誌を中心に一般誌やインターネット媒体などで執筆活動を行う。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。レース出場経験あり。


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