事故相手が飲酒運転だった場合の自動車保険の補償

相手方が「飲酒運転」をしていた場合の事故と自動車保険の関係

「飲酒運転」は道路交通法の「酒気帯び運転等の禁止」で規定されている重大な違法行為です。少しでもお酒を飲んだら車の運転をしないのが大前提です。しかし、自分は絶対に飲酒運転をしないとしても、他の車のドライバーが飲酒運転をしている場面に遭遇するケースがあるかもしれません。では、もしも、飲酒運転をしている車との事故に巻き込まれてしまったとき、自動車保険の補償はどのようになるのでしょうか。

自分側が被った損害には自動車保険の補償がフルに適用される

結論からいえば、相手方が飲酒運転という重大な法令違反、過失を犯していたとしても、自分側が被った損害に対する自動車保険の補償には、基本的に影響がありません。自分や同乗者が死傷してしまった場合には、第一に相手方が加入している自賠責保険から保険金を受け取ることができます。また、相手方が自動車保険に加入していて「対人賠償保険」をセットしているなら、自賠責保険だけでは足りない分の損害に対しても、相手方の対人賠償保険から保険金を受け取ることが可能です。自分の車そのものや車に載せていたものが壊れてしまった場合は、相手方が加入している自動車保険の「対物賠償保険」によって、保険金を受け取ることができます。

これは、保険制度には「被害者救済」という考え方があり、たとえ加害者側が飲酒運転という重大な法令違反、過失を犯していたとしても、被害者の損害に対する補償は有効とされるためです。

また、相手方が飲酒運転をしていたからといって、自分が加入している自動車保険の補償が受けられなくなるといったこともありません。自分や同乗者のケガや死亡を補償してくれる「人身傷害保険(保険会社によっては人身傷害補償保険などと呼ばれる)」や「搭乗者傷害保険」、車が受けた損害を補償してくれる「車両保険」も、他の事故と同様に使用することができます。

飲酒運転側は自動車保険の補償が制限される

一方、飲酒運転をしていた相手方の自動車保険の補償はどのように扱われるのでしょうか。ひと言でいうと「飲酒運転という重大な過失により、自動車保険による補償が制限」された状態になります。

飲酒運転をしていた相手方が、自動車保険に加入していて人身傷害保険、搭乗者傷害保険をセットしていたとしても、運転者本人はこれらの補償を受けることはできないのが通常です。これは、飲酒運転が人身傷害保険、搭乗者傷害保険の免責事由(保険会社が保険金を支払わない場合・理由)に該当しているからです。

車両保険に関しては、飲酒運転をしていた本人が事故を起こした車の所有者である場合は、車両保険の補償は受けられません。また、車両の所有者が飲酒運転をしていなかったとしても、車両保険の補償が受けられなくなる場合があります。

「飲酒運転」には重い行政処分と罰則が適用される

「飲酒運転」は重大な違法行為であり、飲酒運転をした本人には以下のような重い行政処分や罰則が規定されています。「酒酔い運転」とは、アルコールの影響で正常な運転ができない状態で運転すること、「酒気帯び運転」とは、体内に基準値以上のアルコールを保有して運転することを指します。

また、罰則は飲酒運転をした本人だけでなく、飲酒運転者に車両を提供した人、飲酒運転者にお酒を提供した人や飲酒運転車に同乗した人に対しても適用される場合があります。飲酒運転は「絶対にしない・させない」ということを徹底しましょう。

飲酒運転に対する行政処分

対象 行政処分(注2)
酒酔い運転 違反点数35点、免許取り消し、欠格期間3年
酒気帯び運転 0.25mg/L以上(注1) 違反点数25点、免許取り消し、欠格期間2年
0.15mg/L以上0.25mg/L未満(注1) 違反点数13点、免許停止、免許停止期間90日
  1. 呼気1L当たりのアルコール濃度。呼気中のアルコール濃度によって処分内容が異なる。
  2. 前歴や他の累積点数がない場合。欠格期間とは違反によって新たに免許を取得することができない期間のこと。

飲酒運転に対する罰則

車両を運転した人 酒酔い運転 5年以下の懲役または100万円以下の罰金
酒気帯び運転 3年以下の懲役または50万円以下の罰金
車両を提供した人 酒酔い運転 5年以下の懲役または100万円以下の罰金
酒気帯び運転 3年以下の懲役または50万円以下の罰金
酒類を提供した人
または同乗した人
酒酔い運転 3年以下の懲役または50万円以下の罰金
酒気帯び運転 2年以下の懲役または30万円以下の罰金

絶対にしてはいけない「飲酒運転」の現状とリスク

年々、「飲酒運転」による交通事故は減少傾向にあります。しかし、飲酒運転に絡んだ悲惨な重大事故は撲滅できていないのが現実です。飲酒運転をなくすためには、ドライバー一人ひとりが「飲酒運転は絶対にしない」「飲んだら乗るな、乗るなら飲むな」ということを徹底することが重要です。そこで以下では、飲酒運転の現状や事故リスクの実態、罰則などについて紹介します。飲酒運転がいかに重大な違法行為であるかを改めて確認しておきましょう。

事故件数は3,000件超、うち200件以上が死亡事故

下記のグラフは、警察庁がまとめた原付以上運転者(第1当事者)の「飲酒運転」による交通事故件数と飲酒死亡事故件数の年次推移をあらわしたものです。

飲酒運転による交通事故件数と飲酒死亡事故件数

2006年 飲酒運転による交通事故:11,627 飲酒死亡事故:612件 2007年 飲酒運転による交通事故:7,562 飲酒死亡事故:434件 2008年 飲酒運転による交通事故:6,219 飲酒死亡事故:305件 2009年 飲酒運転による交通事故:5,726 飲酒死亡事故:292件 2010年 飲酒運転による交通事故:5,561 飲酒死亡事故:295件 2011年 飲酒運転による交通事故:5,030 飲酒死亡事故:270件 2012年 飲酒運転による交通事故:4,605 飲酒死亡事故:258件 2013年 飲酒運転による交通事故:4,334 飲酒死亡事故:238件 2014年 飲酒運転による交通事故:4,155 飲酒死亡事故:227件 2015年 飲酒運転による交通事故:3,864 飲酒死亡事故:201件 2016年 飲酒運転による交通事故:3,757 飲酒死亡事故:213件 2017年 飲酒運転による交通事故:3,582 飲酒死亡事故:204件
  • 出典:警察庁「平成29年中の交通事故の発生状況」および「平成30年における交通死亡事故の特徴等について」

道路交通法の改正により、飲酒運転に対する罰則が大幅に強化されたことなどが奏功して、飲酒運転による交通事故や飲酒死亡事故は、近年、減少傾向にあることがわかります。しかし、直近の2017年の事故件数は3,582件、死亡事故件数は204件となっており、飲酒運転の撲滅、飲酒運転による犠牲者ゼロには道半ばの状況が続いています。

飲酒は脳機能を麻痺させ、運転に必要な能力の低下を招く

酒類などのアルコールが含まれた飲食物を摂取すると、個人差はありますが、誰もが酔った状態になります。この酔うというのは、血中のアルコールが脳に運ばれ、脳内の特定の器官が麻痺する状態のことをいいます。その結果、理性や判断力、運動機能といった車を運転するうえで必要な能力が低下し、事故を引き起こす危険性が高まります。

摂取するアルコールの量が多いほど、運転に必要な能力の低下の度合いは強まる傾向があるのはもちろんですが、科学警察研究所交通安全研究室の「低濃度のアルコールが運転操作等に与える影響に関する調査研究」では、低濃度のアルコールでも認知・判断能力への悪影響が観測されています。「少ししかお酒を飲んでいないから」「ほんの少しの距離を運転するだけだから」といった過信や甘えは決してしないようにしましょう。

自動車保険シミュレーションやさしい保険ナビ

はじめての方はこちら自動車保険ガイド

ページID:
C.5.4.6.12

事故受付センター

0120-258-312

(24時間365日)

ロードサービスセンター

0120-638-312

(24時間365日)

重要書類のご案内(パンフレット、約款のしおり等)

自動車保険のパンフレット・重要事項説明書・約款のしおり(普通保険約款・特約)・ロードサービスご利用規約はこちらからご覧いただけます。

ページトップに戻る