タイヤのホイールサイズの見方とは? 「J(フランジ形状)」の意味やリム径の確認・計算方法などを解説

2021年5月更新

車のタイヤ

スタッドレスタイヤの購入やドレスアップなどの目的で、ホイールを新しくすることは少なくありません。その際に注意したいのが、ホイールマッチングです。

ホイールマッチングとは、ホイールサイズやタイヤの外径などが車体に適合しているか確認することです。気に入ったデザインのホイールがあっても、車体に適合しなければ装着できません。

本記事では、ホイールマッチングに不可欠なホイールサイズの表記の見方、ホイールサイズを変更するメリット・デメリット、リム径の確認や計算方法を解説します。

ホイールサイズの表記(数字や記号)の見方とは?

ホイールサイズには、ホイールマッチングに必要な情報がすべて記載されています。

<ホイールサイズ表記の例>

16×6.5 J 5-114.3 50

たとえば上記の例の場合、ホイールサイズは次のとおりです。

  1. リム径:16インチ
  2. リム幅:6.5インチ
  3. フランジ形状:J
  4. ボルト穴数:5穴
  5. P.C.D:114.3mm
  6. インセット:50mm

それぞれのホイール上の位置と意味については以下となります。

ホイールサイズを解説したイラスト
ホイールサイズを解説したイラスト

リム径

リム径とは、タイヤを装着していない状態のホイールの直径のことで、インチで表記されます。リム径にタイヤの厚みを加えたものが実際のタイヤの外径です。リムはホイールの外縁部分を指します。

リム幅

リム幅とは、ホイールの横幅のことで、タイヤをはめ込む部分の幅がインチで表記されます。
リム幅は各タイヤメーカーによって、ある程度の適合幅が設定されています。適合幅とは、タイヤ幅と適合するリム幅の許容範囲のことです。タイヤとの適合性を高めて走行時の安全性を保つために、必ず適合範囲内でタイヤとホイールを組み合わせる必要があります。

フランジ形状

フランジ形状とは、ホイールとタイヤが接合する部分の形状のことで、アルファベットで表記されます。
「J」または「JJ」が一般的ですが、「B」「K」「L」などの形状も一部で残っています。「J」と「JJ」で走行性能に差はありませんが、JJのほうが0.5mm程度フランジの頭頂部が高く、タイヤを装着した際の見た目が若干異なります。

ボルト穴数(ホール)

ボルト穴数とは、ホイールを車体に固定するボルトの穴数のことで、ホール(Hole)と呼ばれることもあります。
一般的に普通車は4〜5穴で、大型のタイヤを装着するSUVやクロスカントリー車では6穴の場合もあります。なかには、マルチホイールと呼ばれる8穴以上のホイールも存在します。

P.C.D(Pitch Circle Diameter)

P.C.Dとは、ボルト穴を結んでできた円の直径のことで、mmで表記されます。
国産の普通車では100mmまたは114.3mmが主流ですが、車種によって採用されているサイズが異なり、P.C.Dが合わないホイールは装着できません。ホイールを交換する際は、適合するかしっかりと確認する必要があります。

インセット

インセットとは、リム幅の中心線からホイールの車体取り付け面までの長さのことで、mmで表記されます。以前は「オフセット」と呼ばれることもありましたが、2008年にJATMA(日本自動車タイヤ協会)によって呼称が「インセット」に統一されました。

インセットの数値が大きいほど、取り付け面がリム幅の中心線より外側になり、ホイール全体が車体の内側方向に引き込まれる形(インセット)になります。逆にインセットの数値が小さいと、取り付け面がリム幅の中心線より内側になり、ホイール全体が車体の外側方向に突出する形(アウトセット)になります。
また、リム幅の中心線と取り付け面が同じ位置であれば、ゼロセットと呼ばれます。

なお、インセットが許容範囲内に収まらないホイールは取り付けができません。走行時の安全性が確保できないため、強引に装着するのは避けましょう。

ホイールサイズの確認方法

タイヤを整備する整備士

ホイールサイズは、ホイールに施されている刻印やシールで確認できます。
刻印やシールの場所は製品によって異なりますが、リムの裏などに表記されていることが一般的です。
その場合、ホイールサイズを確認するにはホイールからタイヤを外す必要があります。

ただし、ホイールの脱着には専用の器具が必要で、個人で行うには危険がともないます。ホイールサイズがわからない場合は、タイヤショップや自動車整備工場に持ち込んで確認してもらうか、実測しておおよそのサイズを推測することをおすすめします。

なお、ホイールを購入した際の書類が残っている場合は、ホイールサイズが記載されている可能性があるのでチェックしてみましょう。

ホイールサイズのインチアップとインチダウンについて

ホイールを交換する際、タイヤの外径を変えずにホイールサイズ(リム径)を大きくすることをインチアップ、小さくすることをインチダウンといいます。

多くの場合、インチアップ・インチダウンは個人の乗り味や見た目の好み、もしくは価格によって選択されます。

インチアップのメリット・デメリット

メリット
  • カーブやブレーキでのグリップ力が向上する
  • 凍結した路面で滑りにくい
  • コーナリング性能が向上する
  • ドレスアップ効果を高められる
デメリット
  • 走行時の振動が大きくなる
  • 走行音が大きくなる
  • 燃費が悪くなる可能性がある

インチアップすると、タイヤ全体が平らに近く(扁平率が低く)なり、タイヤの接地面が横に広がります。タイヤの接地面が大きくなればグリップ力が上がり、凍結した路面でも滑りにくくなります。ハンドリングの応答性も高まるため、コーナリングの性能も向上します。

また、インチアップするとホイール部分が大きくなります。デザイン性の高いホイールを装着すれば、ドレスアップ効果も高まります。

一方で、インチアップでタイヤの扁平率が低くなると、タイヤのクッション性も低くなるため、路面の影響を大きく受けるようになります。走行時の振動や走行音は、扁平率の高いタイヤよりも大きくなり、燃費も悪化する可能性があります。

なお、インチアップした場合は、タイヤの空気の容量が減るうえに、空気圧の不足を視認しにくくなるため、高扁平率のタイヤよりもパンクに気付きにくくなります。空気圧の管理や点検には特に注意してください。

インチダウンのメリット・デメリット

メリット
  • 地面の凹凸を吸収し乗り心地が良くなる
  • 走行音が小さくなる
  • 雪道や濡れた道で滑りにくくなる
  • 燃費が良くなる傾向がある
  • 一般的にタイヤとホイールの価格が安い
デメリット
  • カーブやブレーキでのグリップ力が低下する
  • コーナリング性能が低下する
  • 見た目が好みとは離れる可能性がある

インチダウンすると、タイヤに厚みが出る(扁平率が高くなる)ため、地面からの衝撃を吸収しやすくなります。走行音も小さくなり、乗り心地が良くなるのがメリットです。

また、扁平率の高いタイヤは接地面が小さくなるので、転がり抵抗も小さくなり、燃費が良くなる傾向にあります。接地面が小さければ、面積あたりに受ける車体重量が増加して接地圧が上がるため、雪道などの路面でも滑りにくくなります。ただし、グリップ力が求められるアイスバーンでは、逆に滑りやすくなる点に注意が必要です。

扁平率の高いタイヤとホイールは、一般的に価格が安いのもメリットです。足回りの整備を安価に抑えることにもつながります。

一方で、インチダウンによってタイヤの接地面が小さくなることで、カーブやブレーキでのグリップ力やコーナリング性能は低くなります。ホイールが小さく、扁平率の高いタイヤは、オフロード車向けのデザインが多いため、車種によっては外観が好みと離れてしまうこともあります。

ホイールサイズを変更する際のポイント・注意点

タイヤ交換

ホイールサイズを変更する際は、インチアップ・インチダウンともに気を付けたいポイントがあります。以下の3点が守られていない場合、保安基準に適合していないとして車検で不合格、自動車保険の加入内容に影響が出る、交通違反となるケースなどもあるため、十分注意しましょう。

1.タイヤの外径が変わらないようにする

ホイールサイズを変更した際にタイヤの外径まで変えてしまうと、スピードメーターが表示する速度と実際の走行速度に誤差が生じます。誤差の許容範囲は、車検の審査事務規程によって定められており、著しい誤差が生じると車検に通りません。

また、タイヤの外径を大きくした場合、車体と干渉して走行に支障が出ることもあるため、ホイールサイズを変更しても、タイヤの外径は変わらないようにしましょう。

2.はみ出し装着をしない

先述のとおり、ホイールの取り付け面がリム幅の中心線より内側になり、ホイールが車体の外側方向に出ることを「アウトセット」と呼びますが、過剰なアウトセットによってホイールがフェンダーより外側にはみ出すと、道路運送車両法に違反します。

ホイールが車体よりはみ出すことで、タイヤが跳ね上げた石などの飛来物が他の車や歩行者などに当たる可能性があり、大変危険です。大きな事故の原因になるため、フェンダーが保護できる範囲にタイヤを収める必要があります。

なお、タイヤは10mm未満のはみ出しが許可されていますが、ホイールやタイヤキャップはフェンダーの内側に収まるように装着しなければなりません。

3.ホイールナットのサイズや形状にも注意

ホイールを固定するナット(ホイールナット)は、メーカーやホイールの種類によって、適合するサイズや形状が異なります。ホイールナットのサイズにも、タイヤやホイールと同じく表記ルールがあり、これを確認することで適合するホイールナットを探しやすくなります。

タイヤの外径の計算方法

タイヤの外径は、タイヤ全体の直径です。ホイールサイズを変更して車検を通すには、タイヤの外径を「純正ホイール+新車装着タイヤ」のサイズに合わせる必要があります。

タイヤの外径は、上下のタイヤの厚みとホイールの直径(リム径)を足せば求められます。

【タイヤの厚み(ホイール装着前)の計算方法】

タイヤの厚み(ホイール装着前)=タイヤ幅×扁平率

【タイヤの外径の計算式】

タイヤの外径=タイヤの厚み(タイヤ幅×扁平率)×2+リム径×25.4mm

計算に必要な数値は、タイヤのサイドウォールに刻印されているタイヤサイズの表記で確認でき、「タイヤ幅(mm)/扁平率(%)、タイヤの構造、内径(インチ)、ロードインデックス、速度記号」の順に情報が並んでいます。

たとえば「275/40R19 101W」と表記されていた場合、タイヤの厚みは275mm×40%(タイヤ幅×扁平率)となり、110mmです。タイヤは上下に厚みがあるため、110mmを2倍にした220mmがホイールに装着したときのタイヤの厚みになり、これにリム径(19インチ×25.4mm)を足した702.6mmmがタイヤの外径です。

まとめ

ホイールサイズは運転性能に大きく影響する要素です。ホイールの内側などにある刻印やシールからホイールサイズの情報が読み取れます。ホイールサイズを変更する際は、メリット・デメリットをよく確認して適合するホイールを選びましょう。

インチアップ・インチダウンは、タイヤとホイールをドレスアップパーツとして楽しむだけでなく、スポーツ走行やオフロード走行のためのチューンアップ、雪道や凍結路面での安全性を確保するためにも用いられます。

タイヤとホイールは走行装置であると同時に安全装置でもあります。ホイールマッチングについて理解を深め、安全運転に活かしてください。

  • 本記事の内容は特段の記載がない限り、一般的なタイヤホイールの解説です。車種やメーカーによって解説内容と異なる場合があります。ご自身の車でご不明点やお気付きの点があった場合は、メーカーや整備工場にご確認ください。

猪飼 綾

記事監修者:猪飼 綾(いかい あや)

タイヤ業界の専門週刊紙『自動車タイヤ新聞』にて、取材を中心に記者として活動した経験あり。記名の特集記事や連載を紙面に複数掲載。タイヤに使用されている技術について特に掘り下げた取材・執筆をしてきた。その後、独立して現在はフリーライターとして活動中。


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