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「ETC2.0」のメリットと利用方法を解説
すでに多くのドライバーが利用しているETCですが、2014年からはその進化版ともいえる「ETC2.0」がスタートしています。また、2016年にはサービスの拡充が実施されました。ETCが普及してきたところで新たに登場したETC2.0とはいったいどのようなサービスなのでしょうか。また、従来のETCと比べてどんなメリットがあるのでしょうか。ETC2.0導入の経緯や利用方法とともに解説します。
利用率9割を超えた「ETC」が「ETC2.0」へと進化
高速道路の自動料金収受システム「ETC」が本格運用を開始したのが2001年。車両に搭載されたETC車載器と料金所のETCゲートとの無線通信による自動料金精算が可能になったことで、従来の係員や機械による料金支払いに比べて圧倒的にスムーズに料金所を通過できるようになりました。利便性の向上はもちろん、渋滞の緩和にもつながっています。
ETCを利用するためには、車載器の搭載やETCカードの発行申し込みが必要となりますが、導入初期に行われたETC割引制度や車載器本体価格の下落、そしてなによりインフラの整備が進んだことで、2017年現在では約9割のドライバーがETCを利用するようになりました。
ETCの普及と並行する形で、国土交通省が推進する高度道路交通システム「ITS」の一環として導入されたのが「ETC2.0」です。急速に普及し、多くの車に搭載されているETC車載器を利用することで、従来の道路掲示板やラジオなどより広範囲に安全運転支援情報や渋滞・規制情報などを提供することが可能になっています。ETCのバージョンアップ版と表現するのが最も簡潔でしょう。さまざまな形で実証実験や先行サービスの提供が行われ、2014年からは「ETC2.0」という名称に統一されてサービスがスタートしました。
「ETC2.0」ならではの新サービスと導入のメリット
従来のETCとは異なる「ETC2.0」ならではの新サービスとして、最も大きく取り上げられているのが情報提供サービスです。2017年現在、高速道路上を中心とする全国1,600ヵ所に「ITSスポット」と呼ばれる通信設備が設置されており、ここからドライバーにとって有益な情報が配信されるのです。
例えば、運転しながら高速道路上の規制や事故の情報、落下物、前方の路面情報などを受信することが可能になります。事故・トラブル防止に大いに役立ってくれることでしょう。また、渋滞情報をタイムリーに表示してくれるので、渋滞回避に利用することも可能です。万が一、高速道路上を運転しているときに大地震などが発生した際には、被害の最新状況や行動の指針とすべき情報なども得ることができます。そのほか、サービスエリアや道の駅などに設置されているITSスポットでは、地域の観光情報などを取得することが可能です。
注目すべきは、ETC2.0対応のカーナビゲーション機器を搭載した車両であれば、ディスプレイと連動した経路情報サービスを利用できること。ETC2.0との連携により、最大1,000キロという広範囲の道路交通情報を受信できるため、従来に比べて最適なルートを選択できるようになります。また、一部高速道路の料金水準が約2割引になる優遇措置もスタートしています。
さらに今後は、渋滞迂回経路を走行したドライバーを優遇する措置や、商用車の運行管理支援サービスなども導入予定となっています。将来的には、民間駐車場やフェリー乗船などのドライブスルー決済といった、民間企業と連携した新たなサービスも受けられるようになる予定です。
「ETC2.0」のサービスを利用するためには何をすればいい?
実際に「ETC2.0」のサービスを利用するためには、ETC2.0に対応した車載器が必要となります。「カーナビゲーション連動型」「GPS付き発話型」「スマートフォン連動型」の3種類があり、それぞれ自動車ディーラーやカー用品店、整備工場が購入・取付に対応しています。購入・取付をした車載器を使うためには、同時にセットアップ作業が必要です。また、カーナビゲーション連動型、スマートフォン連動型の車載器を使用する場合は、それぞれに対応するカーナビ、スマートフォンを用意します。
注意が必要なのは古いETC2.0対応車載器をすでに持っている人。2015年7月1日より前にセットアップをしている場合、2017年現在に提供されているサービスをすべて利用するためには再セットアップをしなければなりません。
ちなみに、従来型ETC車載器のユーザーは今後どうなるかというと、ETCの主目的である高速道路料金支払いサービスは継続して利用することができます。ETC2.0の新サービスに必要性を感じないようであれば、従来どおりの使用で特に問題はありません。
2017年8月現在では、導入費用が高くつく、すべてのサービスが利用開始されていないといった理由で導入に対して迷いが生じるのも事実です。しかし、事故防止や渋滞解消に役立ってくれたり、割引サービスを受けられたりするケースがあるなど、徐々に利便性は高まってきています。今後のサービスの動向・発展に要注目です。
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