アイドリングストップとは?エンジンの寿命や燃費、メリット・デメリットについて解説

2021年2月更新

赤信号で停止する車

信号待ちなどで車を一時停止させた際、自動的にエンジンがストップする機能をアイドリングストップと呼びます。燃費に優れ、環境にも良いとされているため、ご自身の車がアイドリングストップ搭載車である方も多いのではないでしょうか。

本記事では、アイドリングストップのメリットやデメリット、エンジンやバッテリーの寿命への影響などを解説します。近年、アイドリングストップ非搭載車が増えている背景や、今後の見通しもあわせてご紹介します。

アイドリングストップとは?

アイドリングストップの仕組みのイラスト

アイドリングストップは、ブレーキを踏んで車を完全に停止させた際、エンジンが自動でストップする機能です。

駐停車時にエンジンを停止させること自体もアイドリングストップと呼びますが、本記事では車が信号などで停車した際にエンジンを一時的にストップさせる機能をアイドリングストップとして解説します。

アイドリングストップでエンジンを停止した車は、ブレーキを緩める、ハンドルを操作するなどの動作で自動的にエンジンが再始動します。

アイドリングストップの作動条件は、メーカーや車種によってさまざまではありますが、作動条件の一例としては以下のようなものがあります。

アイドリングストップの作動条件の例

  • ブレーキが踏み込まれて完全停止している
  • ハンドルを操作していない
  • アクセルペダルがオフ
  • 平坦な路面での停車

このような作動条件をすべて満たしたときに、アイドリングストップは作動します。

作動条件は車種やメーカーによってさまざまで、なかには「バッテリー状態が良好である」「エンジンが暖機されている」などが作動条件に含まれているものもあります。そのため、エンジン始動直後に停止させても、アイドリングストップが作動しないこともあります。

アイドリングストップのメリット

アイドリングストップにはさまざまなメリットがあります。ここでは3つのメリットを解説します。

1.燃費が良くなる・燃料費の節約になる

アイドリングストップの一番のメリットは、燃費が良くなり燃料費の節約につながる点です。停車時にエンジンが自動でストップしている間は、燃料を消費しません。

環境省のデータ(注)によると「1日5分間のアイドリングストップを行うことで、年間約1,900円の節約が可能」とされています。さらに約39kgの二酸化炭素(CO2)の削減も可能と報告されています。

2.排出ガスが抑えられる

アイドリングストップでエンジンが停止すると排出ガスが抑えられ、環境への配慮につながります。

環境省のデータ(注)によると、アイドリング10分間あたりの二酸化炭素(CO2)排出量は90gとされています。東京都内で登録されているすべての自動車が、毎日アイドリングストップを10分間行えば、1年間で約13万tの二酸化炭素(CO2)排出量を抑えられます。これは日本全体の二酸化炭素(CO2)排出量の約5万人分に相当する量です。

アイドリングストップで排出ガスを抑えることは、地球温暖化対策にもつながります。

  • 出典:環境省「アイドリング・ストップQ&A」

3.騒音が抑えられる

アイドリングストップによりエンジンが停止することで、駐停車中の騒音が抑えられます。
特に住宅街では、車の騒音に悩んでいるという方が少なくないため、騒音が抑えられるのはメリットのひとつです。

アイドリングストップのデメリット

赤信号で停止する車

アイドリングストップのメリットを紹介しましたが、アイドリングストップにはメリットのみではなくデメリットもあります。ここからは、4つのデメリットを解説します。

1.停止時間が短いとかえって燃費が悪くなる

アイドリングストップは停止時に燃料を消費しないため節約になりますが、エンジンの停止時間が短いとかえって燃費が悪くなる場合があります。

一般財団法人 省エネルギーセンター(注)によると、アイドリングストップの状態からエンジンを動かすのに消費する燃料の量は、5秒間エンジンをかけたまま停止している際に消費する燃料の量と同等のようです。
つまり、アイドリングストップの停止時間が5秒未満の場合、アイドリングストップによって抑えた燃料よりも発進時に消費する燃料のほうが上回ってしまい、結果的に燃費が悪くなります。

2.部品の消耗が激しくなる・劣化しやすい

アイドリングストップ非搭載車と比べ、アイドリングストップ搭載車はエンジンの始動回数が多くなります。そのため、バッテリーやゴム製のブッシュ、タイミングベルト、クランクシャフトなどの部品が早く消耗し、部品交換の頻度が早くなりやすい傾向にあります。

また、アイドリングストップに対応したバッテリーは、通常のバッテリーより価格が高い傾向にあるなど、部品交換の費用のみを考えると割高に感じてしまいますが、燃料費などはアイドリングストップによって節約できているため、維持費が高くなるのか、安くなるのかは、全体の費用を考慮する必要があります。

3.エアコンが停止・送風に切り替わる

アイドリングストップ時にはエアコンが停止、もしくは送風に切り替わる点もデメリットの一つです。

ただし、車種やメーカーによっては、車内温度が30度以上のときにはアイドリングストップをしない設定がされていることもあります。また、最近ではエンジンが止まってもバッテリーを使ってエアコンを稼働させる車種もありますが、バッテリーの消費量が高くなってしまう側面もあります。

4.作動タイミングや発進時に若干のタイムラグが起きる

アイドリングストップは信号がすぐに変わることがわかっている状態や、交通の流れの一瞬の停止、その他作動条件で、発進したいときにタイミング悪く作動してしまうことがあります。作動した瞬間はアクセルを踏んでも一時的に反応しないという理由でアイドリングストップを苦手に感じる方もいます。

また、アイドリングストップはブレーキを離すか、ハンドルを操作するタイミングなどで解除されますが、アイドリングストップが作動していない状態と比べると、発進時にわずかなタイムラグ(時間差)が発生します。そのため、信号待ちの状態から動き出すとき、発進のタイミングが一瞬遅れることに違和感を覚える方もいるようです。

アイドリングストップでエンジン・バッテリーの寿命が短くなるのは本当?

アイドリングストップ搭載車は、非搭載車よりエンジンのオン・オフの回数が格段に多くなります。仮に同じエンジンで同じ回数のオン・オフを繰り返すと、アイドリングストップ搭載車のほうがエンジンやバッテリーの消耗が激しくなります。つまり、アイドリングストップで、エンジンやバッテリーの寿命が短くなるのは事実といえます。

そのため、アイドリングストップ搭載車には、非搭載車よりも高性能かつ大容量のバッテリーを搭載しています。この種のバッテリーであれば、アイドリングストップに対応した仕様になっているため、エンジンのオン・オフの頻度が多くても、ある程度耐えることが可能です。

アイドリングストップをキャンセルする方法

発進時のタイムラグや、タイミング悪くエンジンが止まってしまうことから、アイドリングストップに対して苦手意識やストレスを感じることもあるかもしれません。
しかし、アイドリングストップはキャンセルすることができますので、苦手と感じる方は以下の方法を試してください。

アイドリングストップのボタン

運転席のボタンのなかには、アイドリングストップ機能をキャンセルする解除ボタンがあります。
解除ボタンを押せば、アイドリングストップ機能のオン・オフを切り替えることが可能です。なお、一度エンジンを切るとキャンセル状態がリセットされ、アイドリングストップ機能が再び作動するようになります。

乗車のたびに解除ボタンを押すのが面倒という方は、アイドリングストップキャンセラーという機器を取り付けるのも一つの方法です。エンジン始動時の設定としてアイドリングストップがキャンセルされた状態が維持されるため、乗車のたびに解除ボタンを押す必要がなくなります。

ただし、アイドリングストップキャンセラーはメーカーの純正オプションではなく、メーカーでの取り付け対応などは行われていません。取り付けには専門的な知識も必要になるため、特別な理由がない限り、乗車時に解除ボタンを押してキャンセルする方法をおすすめします。

今後はアイドリングストップ非搭載車が増える?

アイドリングストップは、近年販売された多くの車には標準機能として搭載されてきましたが、あえて搭載しない車も登場しています。

アイドリングストップが普及した背景には、2009年からスタートしたエコカー減税が関係しています。アイドリングストップ機能を搭載することで、エコカー減税の対象車として認定基準をクリアするという目的がありました。

近年、アイドリングストップ機能を搭載しない車が登場してきた理由は、以下のとおりです。

  • 部品の消耗、バッテリーの価格が高いなど、全体のコストパフォーマンスを考慮
  • アイドリングストップを搭載しなくても低燃費を実現
  • アイドリングストップ機能を苦手とするユーザーが一定数いる

今後さらに車両性能が上がり、アイドリングストップ機能に頼らなくても省エネ基準を満たせるようになってくると、アイドリングストップ非搭載車が再び増えていくかもしれません。

まとめ

アイドリングストップは、停車時に自動でエンジンが止まる機能です。燃料費の節約につながるうえに、排出ガスの削減や騒音の軽減など、環境にも配慮されています。

一方で、バッテリーなどの部品の消耗が早く、発進時にタイムラグが起きるなど、人によってはストレスを感じてしまうこともあるでしょう。また、5秒未満のアイドリングストップなど、運転の仕方によってはかえって燃費が悪くなる場合もあります。

アイドリングストップのメリット、デメリットを理解したうえで状況に応じて上手に機能を活用してみてください。

  • 本記事の内容は特段の記載がない限り、一般的なアイドリングストップの解説です。車種やメーカーによって解説内容と異なる場合があります。ご自身の車で不明点やお気づきの点があった場合は、メーカーや整備工場にご確認ください。

小西 伸二

記事監修者:小西 伸二(こにし しんじ)

保有資格:1級小型自動車整備士・自動車検査員・2級/3級ガソリン整備士

高校卒業後、自動車メーカーの生産工場に就職。自動車整備士に憧れ、大阪の小さな修理工場で働きながら、自動車にまつわるさまざまな資格を取得。現在も自動車整備の仕事に携わっている。


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