ここから本文です
手洗い洗車とガソリンスタンド等の洗車機どっちがおすすめ?洗車のやり方・ポイント・場所・天気などを解説!
2021年10月更新
大切な愛車に長く乗るために、一番身近なメンテナンス方法は「洗車」です。マメに洗車をすれば、汚れにくくきれいな車体を維持できます。
手洗いによる洗車はお金がかからずスペースさえあればできる反面、面倒な点も多く、ガソリンスタンドや洗車場などにある洗車機を利用する方も多いでしょう。ただし、洗車機は手洗いよりもキズがつきやすいと言われることもあります。
本記事では、手洗い洗車と洗車機では、どちらがおすすめなのかを解説し、手洗い洗車のポイントなどを紹介します。
手洗い洗車と洗車機は状況に応じた使い分けがおすすめ
手洗い洗車と洗車機では、それぞれにメリット・デメリットがあります。そのため、状況に応じた使い分けがおすすめです。
手洗い洗車と洗車機のメリット・デメリット
手洗い洗車 | 洗車機 | |
---|---|---|
メリット |
|
|
デメリット |
|
|
手洗い洗車のメリット・デメリット
手洗い洗車のメリットは、自分の目で見て汚れを落とせるため、隅々まできれいに洗車できることです。正しい方法で洗車をすれば、愛車に洗車キズがつくリスクも避けられます。
デメリットは、どうしても時間と手間がかかってしまうことです。自宅に洗車のスペースや洗車に適した水道がない、もしくは近くに洗車場がない場合、手洗い洗車をすることができません。
また、洗車に必要な道具をそろえるには、初期費用がかかります。ホースや高圧洗浄機、脚立、バケツなどの洗車道具をそろえようとすると、数千円から1万円程度、高品質なものでそろえると数万円かかることもあります。
ただし、一度道具をそろえてしまえば、カーシャンプーの追加購入や、劣化したスポンジ、拭き上げクロスの交換以外に、費用はほとんどかかりません。
洗車機のメリット・デメリット
洗車機で洗車を行うメリットは、手軽に短時間でできることです。洗車コースは水洗いのみから撥水コーティングまで豊富にあり、愛車の状況に合わせて選択できます。なかには、手洗いでは困難な下回りを高圧洗浄できる「下回りジェット洗浄」の設備がついた洗車機もあります。
デメリットは、洗車のたびに費用が発生することです。コースによって異なりますが、毎回数百円から2,000円程度を支払わなければなりません。
また、ひどい汚れがついていると、愛車に洗車キズがついてしまうおそれもあります。洗車機は決められた内容で洗車するため細かい調整ができず、汚れが残ってしまう、ホイールなどの細かい部分が洗浄できない、などもデメリットです。
さらに、洗車可能な車のサイズが決まっているため、大きい車やキャリアをつけている車は洗車できない場合があります。
なお、洗車機によっては最後にブローと呼ばれる風による水分の吹き飛ばしの工程がありますが、ブローですべての水分をとることは難しいため、タオルを使った拭き上げを行う必要があります。ガソリンスタンドの場合は拭き上げ用のタオルが準備されていることが多いですが、洗車場の場合は自身で準備しなければいけないこともあります。必要に応じてタオルを自身で準備するようにしましょう。
拭き上げの方法については、「手洗い洗車のやり方・手順」にてご紹介します。
- 洗車機の料金は監修者の知見による料金相場です。料金は車種や店舗によってそれぞれ異なるため、あくまでも料金の目安としてください。
手洗い洗車におすすめの天気と時間帯
手洗い洗車は、天気のよい昼間にするイメージを持っている方がいますが、必ずしもそうとは言い切れません。ここでは、手洗い洗車におすすめの天気と時間帯について解説します。
天気
洗車に最も向いている天気は、風がなく、気温が低い、曇り日です。
風が強い日は、飛んできたホコリや砂がボディにつき、そのまま拭き上げることでボディにキズをつけてしまうことがあります。
当然雨の日は避けるべきですが、実は晴れの日も注意が必要です。日差しが強く気温が高すぎると、洗剤や汚れのついた水分が乾きやすく、ボディにシミやムラが残ってしまいます。
また、車体に付着した水滴がレンズ効果を果たし、強い日差しが車体の一か所に集められて塗装面を焦がしてしまう「ウォータースポット」が発生する可能性もあります。ウォータースポットは、キズの一種で洗車しても取れないため、発生しないよう注意しましょう。
晴れの日に洗車する場合は、ボディの温度が上がりにくく、日差しの入らない日陰で行うのがおすすめです。
なお、日本気象協会は、洗車に適した天気かどうかを数値で知らせてくれる「洗車指数」(注)を公表しています。洗車の際には、こちらの情報も活用してみてください。
- 出典:日本気象協会「洗車指数」
時間帯
手洗い洗車をする時間帯は、朝がおすすめです。日中になり気温が上がるとボディの温度も上がってしまい、水が蒸発しやすくなります。結果として、水シミやウォータースポットが発生する可能性が高まるので注意しましょう。
また、夕方も、日中に温められたボディが冷え切っておらず、夕暮れで細かい汚れが見えない場合があります。洗車する時間帯としてはやや不向きのため、手洗い洗車をするなら、午前中の早い時間帯のほうがおすすめです。
手洗い洗車を行う際に準備するもの
手洗い洗車をする際は、下記の洗車道具を準備しましょう。それぞれの道具を選ぶポイントも紹介します。
- 洗車用スポンジ・モップ・グローブなど
- カーシャンプー
- 拭き上げ用クロス
- 脚立
- ホース・高圧洗浄機
- バケツ
- ワックス・コーティング剤
洗車用スポンジ・モップ・グローブなど
洗車用スポンジ・モップは、カーシャンプーで洗車する際の必需品です。スポンジやモップに、水とカーシャンプーをしっかりと含ませることで、ボディに付着した汚れを取り除くことができます。
ボディを直接こするスポンジ・モップは素材が重要です。硬い素材だとボディにキズがつく可能性があるため、やわらかく、キメが細かい泡を作れる素材をおすすめします。
グローブのサイズは、自分の手の大きさにあったものを選びます。手にフィットするグローブタイプは力加減が調整しやすく、細かい部分まで丁寧に洗浄できます。
カーシャンプー
カーシャンプーは、汚れを落とすだけでなく、洗う際の摩擦を小さくする効果もあります。摩擦を軽減できればボディの洗車キズもつきにくくなるため、ぜひ使用をおすすめします。
カーシャンプーを使用する際は、ボディカラーに合わせた商品を購入しましょう。ワックス成分や研磨剤なしの中性タイプが使いやすいため、最初は中性タイプがおすすめです。
拭き上げ用クロス
カーシャンプーをすすいだあと、濡れた車をそのまま放置すると、水シミやウォータースポットができる可能性があります。洗車の仕上げには、拭き上げ用クロスで車体の水分を丁寧に取り除きましょう。
なお、通常のタオルで代用しようとする方もいますが、あまりおすすめできません。通常のタオルは吸水性が低く、ボディにキズをつける可能性があります。洗車専用のやわらかく吸水性の高い素材が適しているため、マイクロファイバータオルや、セーム革のクロスを選びましょう。
脚立
ミニバンやSUVなどの背の高い車だと、車体の屋根部分に手が届かない場合があります。そこで、車に合わせて脚立も準備しておくとよいでしょう。脚立があれば隅々まで洗浄でき、無理な体勢で洗車をし、キズをつけるようなこともありません。
脚立を選ぶ際は、水に強い素材で、足を十分に置ける広さの天板があるものを選びます。また、持ち運びやすいよう軽量でコンパクトなものが便利です。
ホース・高圧洗浄機
ホースは短すぎると、車に水を十分にかけられないため、最低でも15mはあるものを選びましょう。ただし、ホースが長すぎても水の勢いが出ないため、長すぎるホースは避けましょう。
また、ノズルのついたホースなら、強めの水圧や広範囲に放水するシャワーなど、水の出し方を調節できます。加えて高圧洗浄機があれば、より砂やホコリを落としやすく、手の届かない足回りの洗浄も可能になります。
バケツ
クロスのすすぎ洗いやカーシャンプーを泡立てるために、バケツの準備も必要です。洗車道具収納も考え、10L以上の大きめサイズを選ぶとよいでしょう。
ワックス・コーティング剤
洗車後にワックスやコーディング剤を使用すると、撥水効果により汚れがつきにくくなる、被膜効果によりキズがつきにくくなる、ボディにツヤや光沢が出るなどのメリットがあります。
ワックスは「油脂系」のコーティング剤で、固形・半練り・液体などの種類があります。効果や利便性、ボディカラーによって使う種類を選択しましょう。
固形タイプは、塗装面の保護とツヤ出しに使われますが、ムラが出やすく、使用に慣れが必要です。半練りタイプは、固形タイプよりツヤ出し効果は劣るものの、汚れを落とす役割を持っているうえに均一に塗り広げやすいため、初めての人におすすめです。液体タイプは、スプレーで吹きかけて使用するため使いやすい反面、効果の持続性は低くなっています。
なお、現在は、油脂系より持続性に優れた「樹脂系」や「ガラス系」のコーティング剤も一般的になってきています。車の用途やライフスタイルにも合わせて選びましょう。
ワックス・コーティングの種類 | 効果 |
---|---|
油脂系ワックス | 手軽に施工できるが、効果の持続期間が短い |
樹脂系コーティング | 効果が半年~1年ほど持続し、安価 |
ガラス系コーティング | 効果が1年~2年ほど持続するが、高価 |
手洗い洗車のやり方・手順
手洗い洗車は面倒に思えるかもしれませんが、道具をきちんと準備し、手順とコツさえ覚えてしまえば、それほど時間がかかるものではありません。
ただし、間違ったやり方で手洗い洗車をすると、ボディにキズがつく、汚れを十分に落とせないなど、効果が薄くなります。しっかりと正しい手順を把握しておきましょう。
手洗い洗車の手順
- タイヤホイールの洗浄
- 水だけでボディについたホコリや泥汚れを落とす
- カーシャンプーをよく泡立てる
- 泡をたっぷりつけたスポンジでボディを洗浄する
- ボディについた泡を素早く、しっかり水で洗い流す
- ボディ全体の水分を拭き上げる
なお、タイヤホイールの洗浄については、この後の「タイヤホイールの洗浄の方法・ポイント」で解説します。
STEP1:水だけでボディについたホコリや泥汚れを落とす
まずは、水だけで大まかに全体の汚れを落とします。
ボディ表面についたホコリや泥などの固い成分を水流で洗い流すことが目的で、洗車場にある高圧ジェットの使用が一番効率的な方法です。自宅で行う場合は、家庭用のジェットノズルなどがついたホースを用意するとよいでしょう。
なお、ホコリや泥がついたままスポンジやクロスでこすると、ホコリや泥がヤスリのような役割を果たし、ボディ表面にキズがついてしまいます。全体に勢いよく水を流し、ホコリや泥が残らないようにしましょう。
STEP2:カーシャンプーをよく泡立てる
次に大きめのバケツに、カーシャンプーと水を入れ、よく泡立てます。事前にパッケージなどに書かれた商品の説明をよく読み、水とカーシャンプーの量を調節しましょう。
カーシャンプーの泡は、ボディとスポンジの摩擦を軽減させる役割もあります。キメ細かい泡ができるよう、手でかき混ぜるか、ホースから勢いよく水を注いで泡立ててください。
STEP3:泡をたっぷりつけたスポンジでボディを洗浄する
バケツの中でカーシャンプーを十分に泡立てたら、スポンジに泡をしっかりと含ませます。泡は汚れを浮き上がらせる目的で使うため、泡が十分についていれば、ゴシゴシこする必要はありません。
スポンジは、ボディの傾斜面に沿って、高いところから低いところに向かって一方向に動かすと、ムラなくきれいに洗えます。
汚れがひどい箇所は、丁寧に洗いましょう。スポンジが入らない狭い部分や凹凸部分は、使い古しの歯ブラシなどにカーシャンプーをつけて洗うと、よりきれいになります。
STEP4:ボディについた泡を素早く、しっかり水で洗い流す
ボディ全体を洗い終わったら、カーシャンプーの泡を水で洗い流します。このとき、ルーフ(天井)、ウインドウ(窓)、ボンネットやトランク、ボディ前後や側面と、上部から下部へ順番に流していけば、泡が残らず効率的に流せます。泡が残ったまま乾くと、ボディに跡が残ってしまうので、乾く前にまんべんなく洗い流すようにしましょう。
大量の水を使うとスピーディーに作業できます。また、夏場など気温の高い時期は、全体を一気に洗車するのではなく、部分洗いとすすぎを繰り返し、泡の乾燥を防ぐとよいでしょう。
STEP5:ボディ全体の水分を拭き上げる
最後に、タオルを使ってボディの水分を拭き上げます。ボディの上部から下部へと、拭き上げ用クロスを一方向に動かし、水分が乾いてしまう前に一気に取り除きましょう。
水滴の拭き残しがあると、ウォータースポットの原因となる可能性があるため、全体をしっかりと拭き上げましょう。
ワックスやコーティング剤を使用する場合は、水分を拭き上げたあとに行うのが基本ですが、製品によっては拭き上げの前に使用するものもあります。取扱説明書をよく読んで使用してください。
タイヤホイールの洗浄の方法・ポイント
車のタイヤホイールは汚れの目立ちやすい箇所ですが、洗浄すると輝きがよみがえり、車が美しく見えるようになります。洗車の際には、ボディとあわせて洗浄するとよいでしょう。
タイヤホイールをシャンプーで洗浄する
車のホイールは、ブレーキダストと呼ばれるブレーキのカスがつくため、色が変わるくらいに汚れてしまいます。汚れがひどい場合は、ホイールの洗浄中にボディに汚れがはねてしまうこともあるため、ボディよりも先に汚れを落としておきましょう。
まずは、水で大まかに汚れを落とし、次にシャンプー、最後に拭き上げと、手順はボディと同じです。シャンプーはホイール専用シャンプーを準備すると、より綺麗になります。ボディ同様、シャンプーを残すとシミやムラなどの要因になるので、念入りに水で流して拭き上げましょう。
スポンジと拭き上げ用タオルは、必ずボディとは別のものを用意してください。ホイールの汚れがついたスポンジでボディをこすると、ボディにキズがつく原因になります。
タイヤワックスを使用すると足回りがよりきれいになる
ホイールを洗うだけでも、車全体が見違えるほどきれいになりますが、さらに、タイヤの側面(外側から見える部分)にタイヤワックスを塗るとよりきれいに見えます。
タイヤは気付かないうちに汚れて白っぽくなっていきますが、タイヤワックスを使用すると、まるで新車のように黒光りさせることができます。また、タイヤワックスはタイヤの汚れを防止し、太陽光の紫外線などによるひび割れを防ぐ効果もあります。
作業自体はボディ用のワックスと違って、ただ塗りこむだけか、スプレータイプなら吹きつけるだけで完了します。面積も狭く、作業が短時間で済むため、比較的手軽に足回りをきれいにできるでしょう。ただし、タイヤの接地面には塗らないよう注意してください。
室内の清掃で洗車の仕上がりをワンランクアップ
愛車をよりきれいにしたい方は、室内の清掃も同時に行いましょう。室内には、砂や泥、ホコリのほか、食べこぼしなどが溜まっています。
フロアやシートのゴミやホコリを取り除く
まずは、フロアマットを外し、掃除機でマットの下に溜まっていたゴミやホコリを取り除きます。シートの表面はもちろん、座面と背もたれの隙間、小物入れ、ドリンクホルダー、ドアポケットなども忘れずに清掃しましょう。
車内まで掃除機の電源コードが届かない場合もあるので、ハンディタイプの掃除機があると効率的です。
取り外したフロアマットは、布団叩きなどでホコリを落とし、可能であれば水洗いをしてください。カビやニオイが発生しないよう、水洗いしたフロアマットは日光に当てて完全に乾かしましょう。
タオルで内装を水拭きする
次に、固く絞ったタオルで、内装の表面などを水拭きしていきます。頻繁に触れることになるステアリングやドアハンドル、シフトノブなどは入念に拭きましょう。
シートも同様に水拭きしますが、ファブリック(布)製のシートは、ニオイや雑菌がつきやすいため、あまり水分を吸わせないように注意してください。消臭効果や除菌効果のあるシート用の洗剤があると便利です。
また、エアコンの吹き出し口も念入りに清掃しましょう。エアコンを使うと、汚れやホコリが吹き出し口に付着する可能性が非常に高くなります。こういった細かい部分もしっかりと清掃していくことが、愛車をきれいに保つ秘訣です。
まとめ
洗車には、自分で手洗い洗車をする方法と、ガソリンスタンドなどの洗車機を利用する方法があります。それぞれにメリット・デメリットがあるため、洗車に対するこだわりや状況に応じて使い分けるとよいでしょう。
手洗い洗車に適したタイミングは、風がなく涼しい朝方です。作業は日差しの当たりにくい日陰か、曇りの日に行いましょう。ボディの洗浄のほか、足回りや内装の清掃なども一緒に行うと、愛車がよりきれいに引き締まって見えます。
手洗い洗車は手順やコツを覚えれば、スムーズに作業することが可能です。本記事を参考に、ぜひ実践してみてください。
- 本記事の内容は特段の記載がない限り、一般的な洗車方法の解説です。車種やメーカーによって解説内容と異なる場合があります。ご自身の車でご不明点やお気付きの点があった場合は、メーカーや整備工場にご確認ください。
記事監修者:鈴木 ケンイチ(すずき けんいち)
日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員
大学卒業後、雑誌編集者を経て独立。自動車専門誌を中心に一般誌やインターネット媒体などで執筆活動を行う。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。レース出場経験あり。
はじめての方はこちら自動車保険ガイド