原付の二段階右折の方法とは?条件や注意点、違反時の罰則などを解説

2022年7月更新

二段階右折の標識

原付免許は筆記試験と原付講習のみで取得できる比較的手軽な免許です。普通自動車免許にも付帯しているので、人によっては身近な免許かもしれません。

原付(原動機付自転車)には、「二段階右折」と呼ばれる運転ルールがあります。正しく理解していないと、交通違反となるだけでなく、交通事故を起こすことにもなりかねません。

本記事では、二段階右折の方法や違反時の罰則などを解説します。二段階右折についてあまり気にしてこなかった方も、この機会に正しい二段階右折の方法を学んでおきましょう。

二段階右折とは?

二段階右折の標識
二段階右折の標識
二段階右折禁止の標識
二段階右折禁止の標識

二段階右折とは、二段階右折の標識(注)がある交差点、もしくは片側3車線以上の交差点を右折する際、走行方向と右折方向の2つの信号に従って右折をする方法です。

自動車であれば、3車線のうち右側の車線を走行して直接右折しますが、二段階右折が必要な車両の場合、いったん左車線を直進し、交差点を渡った先で方向を変えてからさらに直進します。

詳細な方法は、この後の「【道路別】二段階右折の方法・ルール」で詳しく解説しているのでそちらもご覧ください。

なお、原付の二段階右折が法令化されたのは1986年です。1964年から1986年の道路交通法改正までの間、原付は普通二輪車や四輪車などと同じように、小回りでの右折が認められていました。しかし、右折する原付と対向車線の直進車との衝突事故が増え、このような事態を避けるための措置として二段階右折が法令化されました。

  • 正式名称:原動機付自転車の右折方法(二段階)

二段階右折が必要な車種

二段階右折が必要な車種は、排気量が50cc以下の原付(原付一種)と軽車両です。「軽車両」とは、四輪の軽自動車のことではなく、自転車や荷車などの原動機を持たない車両を指します。

「原付は二段階右折が必要」と覚えている人もいるかもしれませんが、排気量50ccを超え125cc以下の原付二種は、二段階右折が不要です。


二段階右折違反の罰則

二段階右折を必要とする交差点で、二段階ではなく小回りに右折すると、道路交通法第34条第5項の「交差点右左折方法違反」になります。罰則は、違反点数1点、反則金3,000円と規定されています。

しかし、二段階右折が必要な交差点で小回り右折をした場合、右折した先の信号は赤信号のため、同時に信号無視もしています。そのため、二段階右折をせず小回り右折をした場合は、交差点右左折方法違反と信号無視の2つの違反を起こしていることになるのです。

複数の違反が同時に発生した際には、より重いほうの罰則が適用されます。つまり、二段階右折をしないで取締りされた場合、信号無視の違反点数2点、反則金6,000円が罰則として科されます。

【道路別】二段階右折の方法・ルール

ここでは、基本的な二段階右折の方法と、道路別の方法やルールについて解説します。

基本的な二段階右折の方法

二段階右折の方法
  1. 交差点の30m手前で「右ウインカー」を出しながら安全なスピードに減速し左車線を直進する
  2. 交差点を渡った先で車両の進行方向を右に変更し、ウインカーを消す
  3. 進行方向の信号が青に変わってから直進する

右ウインカーを出しながら直進する際は、左折する自動車に巻き込まれやすいので注意して走行しましょう。

T字路の場合

T字路での二段階右折の方法

T字路の場合も、二段階右折禁止の標識がない限り二段階右折が必要です。

T字路に進入する際は、基本的な二段階右折と同様に一番左の車線を右にウインカーを出しながら走行し、突き当たりの場所で方向転換してウインカーを消灯、信号が青になるのを待ちましょう。その後、進行方向の信号が青になったら直進してください。

左折専用レーンがある場合

左折専用レーンがある場合の二段階右折の方法

二段階右折を行う車両は左車線を走行することになっています。これは左折専用レーンがある場合でも同様です。

左折専用レーンがある場合、四輪車などの車両は必ず左折します。原付は右ウインカーを出すことを忘れないようにし、左折車に巻き込まれないよう、安全を確認してから直進しましょう。

ただし、交差点に左折用の矢印信号が設置されている場合、左折の矢印の点灯時は直進することができません。青信号か直進矢印信号に変わって直進ができるようになるまで、車両を左車線の路肩の安全な場所に寄せておく必要があります。

二段階右折が不要・禁止されているケース

ここでは、二段階右折が不要、または禁止されているケースについて解説します。

「原動機付自転車の右折方法(小回り)」の標識がある

原動機付自転車の右折方法(小回り)の標識
原動機付自転車の右折方法(小回り)の標識

3車線以上の道路であったとしても、「原動機付自転車の右折方法(小回り)」の標識がある場合は、二段階右折をせずに小回り右折をする必要があります。小回り右折は、四輪の乗用車などと同様に、直進方向の信号に従ってそのまま交差点に進入し、右折する方法です。

小回り右折する際は、法定速度が異なる車両に混ざって走行するため、周囲の車両の動きに注意しましょう。

直進と右折ができるT字路で待機スペースがない場合

二段階右折が禁止されている交差点

直進と右折に分かれる「ト型」のT字路では、原則として待機スペースが用意されており、そこで信号が青になるまで待ちます。待機スペースがない場合は、直進する車の妨げになり危険なため、多くの道路では二段階右折が禁止されています。

二段階右折が禁止されている場所は、通常「二段階右折禁止」の標識がありますが、標識がない場合でも、安全のためになるべく右折は行わないほうがよいでしょう。

信号がない、警察官の手信号による交通整理が行われていない3車線の道路

3車線以上の道路であったとしても、信号のない交差点、もしくは警察官の手信号による交通整理が行われていない場合は、二段階右折が不要です。

まとめ

二段階右折は、原付や軽車両が安全に右折するためのルールです。二段階右折が必要な交差点で小回り右折をすると、「交差点右左折方法違反」と「信号無視」の2つの違反を起こしたことになり、信号無視の「違反点数2点、反則金6,000円」という罰則が科されます。

二段階右折が必要なのは、片側3車線以上ある道路の交差点です。二段階右折禁止の標識がないT字路や、左折専用レーンがある場合も同様に、二段階右折をしなければなりません。

ただし、「原動機付自転車の右折方法(小回り)」の標識がある場合や、待機スペースがない「ト型」のT字路、信号のない交差点や警察官による交通整理が行われていない交差点では、二段階右折は不要・禁止です。

二段階右折をする際は、ほかの車両とは異なる通行方法になります。必ず右ウインカーを出して意思表示をし、安全な場所で待機するなど、より一層の注意をして走行しましょう。


  • 本記事の道路標識の画像は、国土交通省の「道路標識一覧」から引用しています。
  • 本記事の内容は特段の記載がない限り、通常時における原付の右折方法についての解説です。事故や災害時には例外が発生することもありますので、警察官が誘導している場合は、実際の指示に従い対応を行ってください。交通ルールや道路標識に関してご不明点などがある場合は、警察庁や道路管理者にご確認ください。

鈴木 ケンイチ

記事監修者:鈴木 ケンイチ(すずき けんいち)

日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員
大学卒業後、雑誌編集者を経て独立。自動車専門誌を中心に一般誌やインターネット媒体などで執筆活動を行う。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。レース出場経験あり。


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