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ゴールド免許の条件とは?ゴールドのメリットや保険の割引額について解説
2021年3月更新
ゴールド免許は無事故・無違反の優良ドライバーである証しです。しかし、事故や違反がないという漠然とした定義は知っていても、ゴールド免許の細かい取得条件を知る方は少ないかもしれません。
本記事では、ゴールド免許を取得できる条件やメリット、ゴールド免許に切り替わる具体的なタイミングなどを詳しく解説します。
ゴールド免許とは?
ゴールド免許は優良ドライバーの証しで、5年以上無事故・無違反を守っていることを表します。運転免許証に記載されている有効期間の背景色が金色になっているのが目印です。
ゴールド免許の条件
ゴールド免許を取得する条件は、以下の3点です。
- 運転免許証を5年以上継続して保有している
- 誕生日の41日前から過去5年間無事故・無違反である
- 重大違反教唆幇助、道路外致死傷がない
無事故とは人身事故がないことを指します。単独事故や人的被害のない車両同士の事故は、ゴールド免許取得において影響はありません。
重大違反教唆幇助(きょうさほうじょ)とは、運転者に対して同乗者が重大な交通違反をそそのかす、または違反行為と知りながら止めないことです。
また、道路外致死傷は、私的に利用される駐車場など、公道以外の場所で人を死傷させる行為を指します。
運転免許証の色について
運転免許証にはグリーン・ブルー・ゴールドの3色があります。それぞれの特徴は以下のとおりです。
グリーン免許 | 運転免許証を初めて取得したときに交付。 有効期間は3年。 |
ブルー免許 | グリーン免許から最初の更新で交付。 初回更新者・一般運転者・違反運転者の3つの区分があり、一般運転者の有効期間は5年、初回更新者と違反運転者の有効期間は3年。 更新の年に満71歳を迎える場合は4年、満72歳以上の場合は3年 |
ゴールド免許 | 過去5年間無事故・無違反の運転者に交付。 有効期間は原則5年で、更新の年に満71歳を迎える場合は4年、満72歳以上の場合は3年。 |
ゴールド免許で違反するとどうなる?すぐにブルーに切り替わる?
ゴールド免許で違反をしても、すぐにブルー免許に切り替わるわけではありません。運転免許証の色は次回の免許更新時に変更されるため、仮に免許更新でゴールド免許になったすぐあとに違反をしてしまっても、次回の免許更新までの約5年間はゴールド免許を保持できます。
ただし、免許取り消しによって一度運転免許証を失効したあとに再び取得した場合などはこの限りではありません。
ゴールド免許になるとどのようなメリット・特典がある?
ゴールド免許になると、さまざまなメリットや特典を受けられます。
免許更新の優遇
ゴールド免許の有効期間は5年です。グリーン免許は3年、ブルー免許も初回更新者と違反運転者は3年のため、更新手続きの頻度が下がり負担が減ります。
また、更新時に受ける講習内容にも違いがあります。ゴールド免許所持者は「優良運転者講習」となり時間は30分です。一方、ブルー免許所持者の講習は1時間~2時間かかります。
さらに、免許更新の際の手数料も他と比べて安価です。免許更新時の手数料は都道府県によって異なりますが、たとえば東京都の場合、ブルー免許の手数料は3,300円~3,850円、ゴールド免許は3,000円です。
警察署での免許更新が可能
免許更新の手続きができる場所が多いのもゴールド免許のメリットです。ブルー免許やグリーン免許の場合、運転免許センターや運転免許試験場でしか更新ができません。
ゴールド免許の場合は、免許更新の通知はがきに記載のある指定警察署であれば、どの警察署でも更新手続きが可能です。
ただし、警察署での免許更新は平日のみしか対応しておらず、運転免許センターや運転免許試験場での更新よりも手続きに時間がかかることがあります。警察署での免許更新についての詳細は、都道府県警察のホームページなどをご確認ください。
自動車保険に割引が適用される
自動車保険の保険料が決まる要素は、年間走行距離や車の使用目的、運転者の年齢など複数あり、運転免許証の色も保険料を左右する要素の一つです。
ゴールド免許所持者は、事故を起こす可能性が低い優良ドライバーと認められるため、保険料が割引されます。割引額は保険会社や条件によって異なります。
自動車保険の保険料がどのように算出されるかについては、「保険料を決める主なポイント」の記事で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。
ゴールド免許はオンラインでの講習も可能に?!
警察庁は2020年9月末、ゴールド免許所有者を対象にした免許更新の講習をオンライン化する仕組みの導入テストを行っていくと発表しました。オンライン化によって、警察署や免許センターの混雑を緩和させ、待ち時間の短縮につなげる狙いがあります。
オンライン講習が導入されれば、希望者は30分の講習をPCやスマートフォンを使ってどこでも受講可能です。講習を受けたうえで警察署や運転免許センターに行くことで、更新手続きが完了します。
オンライン講習は2021年秋以降に試験的に導入され、その後全国でも受講可能になることが予定されています。
勘違いの多い「軽微な違反」と「3か月特例」について
運転免許証を持っている方であれば、「軽微な違反」や「3か月特例」という言葉を聞いたことがあるという方が多いはずです。
交通違反をしても軽微な違反の場合や3か月特例に該当するのであれば、免許更新時にゴールド免許を取得できると思っている方もいますが、これは間違いです。
以下では、「軽微な違反」と「3か月特例」がゴールド免許にどのような影響を与えるのか解説します。
軽微な違反でも違反点数がつけばゴールド免許に影響する
軽微な違反とは、違反点数が3点以下の違反のことです。たとえば、通行禁止違反(一方通行の出口からの進入など)や、座席ベルト装着義務違反(シートベルトの未着用)などが該当します。違反点数が1点でもついてしまうと、次回の免許更新ではブルーに切り替わります。
違反点数がつかない違反は、免許証不携帯や泥はね運転、警音器使用制限違反などです。これらは違反金を払う必要はあるものの、違反点数はつかず、ゴールド免許への影響はありません。
3か月特例で違反歴は消えないためゴールド免許に影響する
交通違反によって過去3年間の違反点数が累計6点以上になると、免許停止の行政処分が執行されます。
違反点数の計算では「3か月特例」というルールがあります。過去2年間無事故・無違反の人が3点以下の軽微な違反をしたあと、3か月以上無事故・無違反で過ごせば、その違反点数を3年間の累計として加算しないという特例です。
ただし、この特例は、あくまで“免許停止に対しての特例”であり、ゴールド免許取得の条件とは関係がない点に注意が必要です。
3か月特例によって点数自体が消え、ゴールド免許の取得条件を満たすように誤解されがちですが、運転免許証の色は過去5年間の事故歴と違反歴で判断されます。3か月特例で違反した履歴が消えるわけではないため、軽微な違反でも違反点数がつけばブルー免許に切り替わります。
ゴールド免許を取得できるまでの期間をパターン別に紹介
ゴールド免許を取得できるまでの期間は、いくつかのパターンがあります。
ブルー免許を所有している場合は、免許更新時点(誕生日の41日前)からさかのぼって5年間無事故・無違反であればゴールド免許になるためわかりやすいです。しかし、グリーン免許の場合やゴールド免許で違反を起こした場合は少し複雑です。
以下では、いくつかのケースを例に挙げて、ゴールド免許取得までの期間をご紹介します。
グリーン免許の所有者の場合
運転免許証を新規取得した場合、ゴールド免許になるには最短で約5年かかります。
ゴールド免許は、運転免許証を5年以上継続して保有していることや、過去5年間無事故・無違反などの条件があります。新規で運転免許証を取得した場合、有効期間3年のグリーン免許から開始し、初回の免許更新では有効期間3年のブルー免許に切り替わるため、無事故・無違反でも2回目の更新までの約6年はゴールド免許を取得できません。
ただし、免許更新は誕生日によるカウントのため、誕生日直前に運転免許証を取得した場合は、最短約5年でゴールド免許取得が可能です。誕生日直後に運転免許証を取得した場合は約6年かかります。
ゴールド免許の所有者が軽微な違反を1回した場合
ゴールド免許の所有者が軽微な違反を1回した場合、次の免許更新でブルー免許に切り替わります。ブルー免許のなかでは「一般運転者」の区分となり、先の表のとおり一般運転者の有効期間は5年です。5年間を無事故・無違反で過ごせば、次の免許更新でゴールド免許に戻ります。
ゴールド免許の所有者が軽微な違反を2回以上した場合
ゴールド免許の所有者が軽微な違反を2回以上した場合も、次の免許更新でブルー免許になります。違反を1回した場合と違い、違反を2回すると「違反運転者」の区分となるため、有効期間は3年となります。
ゴールド免許で違反をした時点から次の免許更新までに2年以上の有効期間が残っていた場合、最短5年間でゴールド免許を取得可能です。
残ったゴールド免許の期間とブルー免許の3年間を無事故・無違反で過ごすことで、過去5年間無事故・無違反となり、次の免許更新でゴールド免許を取得できます。
ただし、違反をした時点でゴールド免許の残りの有効期間が2年未満だった場合は、それ以降違反がなかったとしても、ブルー免許の3年間を2回続けて無事故・無違反で過ごす必要があります。よって、この場合は少なくとも約6年間、最長で8年間はゴールド免許が取得できません。
まとめ
ゴールド免許を取得すると、免許更新の期間が5年となるほか、更新時の講習時間が短くなる、自動車保険料の割引など多くのメリットがあります。
ゴールド免許を維持するためには、過去5年間無事故・無違反であるなどいくつかの条件があります。軽微な違反でも、違反点数が1点でもつけば免許更新時にブルー免許に切り替わってしまうため、十分注意しましょう。
ゴールド免許を取得するとさまざまなメリットがあります。もちろん、メリットの有無にかかわらず、事故や違反をしないことはドライバーにとって最も重要なことです。
ゴールド免許を取得し、いつまでも維持できるよう常に安全運転を心がけてください。
- 本記事の内容は特段の記載がない限り、一般的な運転免許証の解説です。災害や感染症など緊急時には、本記事に記載してある内容と異なる対応を取っている場合があります。運転免許証に関して不明点などがある場合は、都道府県警察や運転免許センターにご確認ください。
記事監修者:鈴木 ケンイチ(すずき けんいち)
日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員
大学卒業後、雑誌編集者を経て独立。自動車専門誌を中心に一般誌やインターネット媒体などで執筆活動を行う。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。レース出場経験あり。
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