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カーバッテリーの充電方法とは?車のバッテリーが上がったときの対処方法を解説!
2021年5月更新
自動車には、ヘッドライトやブレーキランプ、カーナビやエアコンなど、さまざまな電子機器が使用されています。カーバッテリーは、これらの電子機器に電気を供給する必要不可欠な部品です。また、エンジンの始動もバッテリーの電気を利用しています。
本来、カーバッテリーは走行中にオルタネーター(発電機)が電気を作り出しているため、外部電力などによる充電を必要としません。
しかし、バッテリーやオルタネーターに異常や故障がある場合は、正常に充電されないことがあります。
また、長期間エンジンをかけない、エンジンをかけずに駐停車中にハザードランプやヘッドライト、ルームランプをつけたままにするなどの使い方をすると、バッテリーの電力を使い切ってしまう「バッテリー上がり」と呼ばれる状態になります。
バッテリー上がりの状態は、エンジンを始動させるセルモーターが起動できないため、エンジンをかけることができません。
当記事では、バッテリー上がりを起こしてしまったときの対処方法や、カーバッテリーを充電する方法、充電が減ってきたときのサインなどをご紹介します。
【緊急時の対応】カーバッテリーが上がってしまったときの対処方法
バッテリーに電力の蓄えがないバッテリー上がりの状態になった場合、どのように対処すればいいのかをご紹介します。
ロードサービスを呼ぶ
バッテリーが上がってしまった際、周りに車がなく急を要する場合は、迷わずロードサービスに電話して駆けつけてもらいましょう。
ロードサービスとは、車に関するトラブルが発生した際、専門の作業スタッフがその場に駆けつけてくれるサービスです。加入している自動車保険などには、ロードサービスが付帯されていることが多くあります。また、車を購入したディーラーがロードサービスを行っている場合もあります。
三井ダイレクト損保の自動車保険にご加入中の方は、三井ダイレクト損保アプリやこちらからロードサービスの依頼ができます。
https://www.mitsui-direct.co.jp/car/compensation/roadservice/
なお、ロードサービスは、バッテリー上がり以外のさまざまなトラブルにも対応してもらえます。車を運転する際は、緊急時にすぐに連絡できるよう、ロードサービスの連絡先を控えておきましょう。
他の車とジャンピングスタートを行う
バッテリー上がりを解決する手段として「ジャンピングスタート」という方法があります。
ジャンピングスタートとは、他の車のバッテリーを利用してエンジンを始動し、バッテリー上がりを解決する方法です。周りに協力可能な車がある状況で、「ブースターケーブル」という専用の道具がある場合は、ジャンピングスタートが有効です。
ただし、ハイブリッド車が救援車となって故障したエンジン車(ガソリン車・ディーゼル車)にジャンピングスタートを行うことは、バッテリーが故障してしまう可能性が高いため避けてください。また、トラックと乗用車の組み合わせもバッテリーの電圧が異なるため、ジャンピングスタートはできません。
ジャンピングスタートができる自動車、組み合わせなのかを必ず確かめてから実施してください。
ジャンピングスタート可否 対応表
故障車 | 救援車 | ジャンピングスタート |
---|---|---|
乗用車(エンジン) | 乗用車(エンジン) | 可 |
乗用車(エンジン) | 乗用車(HV) | 不可 |
乗用車(HV) | 乗用車(エンジン) | 可 |
乗用車(エンジン・HV) | トラック(エンジン・HV) | 不可 |
トラック(エンジン・HV) | 乗用車(エンジン・HV) | 不可 |
- HV:ハイブリッド車(Hybrid Vehicle)
ジャンピングスタートでバッテリーの上がった車のエンジンを始動する方法
ジャンピングスタートを行う方法について、実際の流れに沿って解説します。
なお、ジャンピングスタートの手順は、自動車の取扱説明書にも記載されているのが一般的です。
ジャンピングスタートの事前準備
ジャンピングスタートには、「ブースターケーブル」という専用のカー用品が必要になります。自身も救援車もブースターケーブルを持ち合わせていない場合はジャンピングスタートができないため、ロードサービスを呼びましょう。
ブースターケーブルは、カー用品店やディーラーのオプション品として、数千円程度で購入することができます。
なお、ブースターケーブルにサビがついていると、事故やトラブルの原因になるため、使用前に必ずブースターケーブルの状態を確認してください。また、使用後のブースターケーブルは、よく乾かしたうえで保管しましょう。
ジャンピングスタートを行う手順
ジャンピングスタートは以下の手順で行います。
ブースターケーブルを繋ぐ順番などを間違えると、車両火災の危険性もあるため、必ず順番を守って実施してください。
<ジャンピングスタートの流れ>
- 故障車と救援車をブースターケーブルの届く距離まで近づける
- 救援車のエンジンを停止させ、両方のボンネットを開ける
- 故障車のライトなどの電装機器がすべてオフになっているか確認する
- ブースターケーブルを繋ぐ
- エンジンを始動する
- ブースターケーブルを外す
4以降のブースターケーブルを繋ぐ方法は、以下で詳しく解説していきます。
ブースターケーブルの繋ぎ方
- 赤のブースターケーブルを「故障車のバッテリーのプラス端子」に接続する
- 赤のブースターケーブルの反対側を「救援車のバッテリーのプラス端子」に接続する
- 黒のブースターケーブルを「救援車のバッテリーのマイナス端子」に接続する
- 黒のブースターケーブルの反対側を「故障車のエンジンブロック(エンジンの金属部分)」に接続する
ブースターケーブルを繋ぐ際の注意点
- 車両によって、プラス端子にのみカバーが付けられている場合などがあります。
- 黒のブースターケーブルを故障車のバッテリーのマイナス端子に接続すると、故障の原因になります。絶対に接続しないでください。
- エンジンブロックとは、エンジンの金属部分が露出している箇所のことです。塗装がされていない箇所で、なるべくバッテリーから遠い場所を選んで接続してください。
エンジンの始動の仕方
- 救援車がAT(オートマチック)車ならギアをパーキングに、MT(マニュアル)車ならニュートラルに入れ、サイドブレーキをかけたまま、救援車のエンジンを始動する
- 5分~10分程度、救援車のエンジンをかけたままにして、回転数を1,500回転~2,000回転程度に保つ
- 故障車のエンジンをかける動作を行う
- 故障車のエンジンが始動したら救援車のエンジンを止める
故障車のエンジン始動後の注意点
- 故障車のエンジンがかかったあとは、しばらくアイドリング(エンジンがかかった状態)を続け、バッテリーを充電するようにしてください。
- バッテリーが上がった原因が不明など、その後の自動車の利用に不安が残る場合は、ディーラーや整備工場に点検などを依頼してください。
ブースターケーブルの外し方
- 故障車のエンジンの金属部に接続した黒のブースターケーブルを外す
- 救援車のバッテリーのマイナス端子に接続した黒のブースターケーブルを外す
- 救援車のバッテリーのプラス端子に接続した赤のブースターケーブルを外す
- 故障車のバッテリーのプラス端子に接続した赤のブースターケーブルを外す
カーバッテリーを充電する方法
カーバッテリーを充電するには、次の3つの方法があります。
車を走行させる
通常、カーバッテリーはエンジンが作動することによって、オルタネーターという発電機から電気が供給されて充電されます。
走行しないアイドリングでも充電は可能ですが、充電効率は良くありません。車を時速約50キロメートル、エンジン回転数を2,000回転ほどにして20分以上走行すると、効率良く充電されます。
カーバッテリーの充電器を使用する
バッテリーが上がってしまったときのために、カーバッテリー用の充電器が販売されています。一般的な普通乗用車の場合は、12ボルト充電器を用意しましょう。
充電器のプラスとバッテリーのプラスを赤いケーブルで繋ぎ、充電器のマイナスとバッテリーのマイナスを黒いケーブルで繋いで、充電器をオンにすると充電ができます。
過剰な充電はカーバッテリーの寿命を縮める原因となるため、90%以上充電ができたら充電器の電源を切りましょう。
なお、製品によって操作方法が異なる場合があります。取扱説明書をよく読んだうえで作業を行ってください。
ディーラーや整備工場にメンテナンスを依頼する
充電器をお持ちでない方や操作に不安を感じる方は、ディーラーや整備工場にバッテリーのメンテナンスを依頼しましょう。
なお、半年や1年ごとなどに定期的な点検を受けている場合、その際の点検項目にバッテリーも含まれています。特別な症状が出ていない限り問題はないでしょう。
カーバッテリーのメンテナンスの方法と寿命
自分でカーバッテリーのメンテナンスを行う際のポイントをご紹介します。また、カーバッテリーの寿命の目安についても解説しています。
カーバッテリーのメンテナンス方法
カーバッテリーの点検は、大きく3つに分けられます。このうち外観点検と液量点検は、セルフメンテナンスも可能です。
外観点検
外から見てわかる部分を確認します。
たとえば、カーバッテリーの変形、破損、液漏れ、端子の腐食やゆるみなどが起こっていないか、などを点検します。
端子にサビがついている場合は、サンドペーパーやワイヤーブラシを使用してサビを除去します。
液量点検
カーバッテリーには「電解液」という液体が入っています。カーバッテリーを使用すると、充電による電気分解にともなって水分が減り、電解液が少なくなります。
定期的に液量点検を行い、規定液量にあるか確認してください。
規定液量より少なく、電解液の液面が最低液面線(LOWER LEVEL)より低い状態だと、カーバッテリーが十分に機能しない、またはバッテリー内部の劣化を早める可能性があります。電解液が少なくなったら補充用のバッテリー液を入れ、規定量を保つようにしましょう。
内部点検
バッテリー内部の劣化状況や充電状況は、外観から判断できません。
そのため、内部抵抗や負荷をかけたときの電圧の落ち込みを測定する「バッテリーテスター」などの機器を用いて点検する必要があります。
内部点検を自身で行うのは難しいため、ディーラーや整備工場に依頼するのが一般的です。
カーバッテリーの寿命の目安
カーバッテリーの寿命は、一般的に2年~3年程度といわれています。カーバッテリーの保証期間も2~3年程度のため、保証期間が寿命と考えてください。
バッテリーの劣化は、乗り方や環境によって進み方が異なるので、定期的な点検を行いましょう。いち早く異変に気付くことで、バッテリートラブルを避けられます。
充電低下のサイン
カーバッテリーの充電が低下していると、以下のような症状が出てきます。
<充電低下サインの例>
- エンジンがかかりにくい
- アイドリングストップ機能が作動しない
- 窓(パワーウィンドウ)の開閉が通常よりも遅い
- ヘッドライトが暗くなる
該当する症状が出た場合は、バッテリーの充電が減っている可能性があるので、ディーラーや整備工場にメンテナンスを依頼してください。
まとめ
カーバッテリーは、自動車の電子機器に電気を供給する重要な部品で、トラブルが起きると自動車の走行ができなくなります。バッテリーが上がってしまったときは、ロードサービスを呼ぶか、正常に動く車を使用してジャンピングスタートを行いましょう。
カーバッテリーは、車を走行させることで効率良く充電ができます。バッテリー上がりを避けるためにも、定期的に走行してバッテリーを充電し、日常点検と定期点検でメンテナンスを行なうようにしましょう。
安全なカーライフを送るために、ユーザー自身によるメンテナンス、または整備工場やディーラーで定期的に点検を実施し、バッテリーの機能を正常に維持できるようにしましょう。
- 本記事の内容は特段の記載がない限り、一般的なバッテリーのメンテナンス、緊急時の対応方法の解説です。車種やメーカーによって解説内容と異なる場合があります。実際に作業を行う際は、付属の取扱説明書や、ディーラー・整備工場の指示にしたがってください。
記事監修者:小西 伸二(こにし しんじ)
保有資格:1級小型自動車整備士・自動車検査員・2級/3級ガソリン整備士
高校卒業後、自動車メーカーの生産工場に就職。自動車整備士に憧れ、大阪の小さな修理工場で働きながら、自動車にまつわるさまざまな資格を取得。現在も自動車整備の仕事に携わっている。
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