「準中型免許」の背景・仕組み・影響を解説

新しい運転免許証制度が2017年3月に施行されました。その中で、新たな運転免許証の区分として「準中型免許」というものが設定されています。準中型免許という区分がどのようなものなのか、なぜ生まれたのか、そして既存の免許取得者にはどのような影響があるのかを詳しく解説します。

「準中型免許」の新設で運転免許証の制度はどう変わった?

2017年3月の改正道路交通法で、自動車の運転免許証に「準中型免許」という区分が新たに設置されました。まずは、従来の区分と新区分を比較しながら、運転免許証の制度がどのように変化したのかを見ていきましょう。

2017年の改正道路交通法施行前、一般的な自動車(二輪・特殊・原付を除く)の運転免許証の分類は「大型免許」「中型免許」「普通免許」の3種類でした。中型免許は比較的、新しい区分で、2007年に導入されたものです。それ以前は、車両総重量8トン、最大積載量5トン、乗車定員11人のラインで普通免許、大型免許の2区分でしたが、その中間的な位置に新設されています。

  • 2017年3月道路交通法改正前の運転免許証の分類
区分 車両総重量 最大積載量 乗車定員 取得可能年齢 その他 取得条件
普通免許 5トン未満 3トン未満 10人以下 18歳以上 -
中型免許 11トン未満 6.5トン未満 29人以下 20歳以上 普通免許等の通算
2年以上の保有
大型免許 11トン以上 6.5トン以上 30人以上 21歳以上 普通免許等の通算
3年以上の保有
  • 2007年6月1日までに普通免許を取得していた人は、「車両総重量8トン未満」限定付き中型免許の保有とみなされています。

そして、2017年3月に新設されたのが準中型免許です。これは普通免許と中型免許の間に位置するもので、区分の数は3区分から4区分へと純増しています。区分が1つ増えたことで、運転できる車両の条件も細分化されることになりました。新設の準中型免許で運転できる車両は、車両総重量7.5トン未満、最大積載量4.5トン未満です。普通免許を新たに取得する場合に運転できる自動車の範囲は、車両総重量3.5トン未満、最大積載量2トン未満へと縮小しています。また、準中型免許の取得可能年齢は18歳以上で、中型免許、大型免許のように普通免許等の通算保有に関する条件はありません。

  • 2017年3月道路交通法改正後の運転免許証の分類
区分 車両総重量 最大積載量 乗車定員 取得可能年齢 その他 取得条件
普通免許 3.5トン未満 2トン未満 10人以下 18歳以上 -
準中型免許 7.5トン未満 4.5トン未満 10人以下 18歳以上 -
中型免許 11トン未満 6.5トン未満 29人以下 20歳以上 普通免許等の通算
2年以上の保有
大型免許 11トン以上 6.5トン以上 30人以上 21歳以上 普通免許等の通算
3年以上の保有

トラックドライバーの人手不足解消に「準中型免許」の貢献が期待されている

「準中型免許」の導入における最大のポイントとも言えるのが、取得可能年齢が18歳以上であり、先行して保有しなければならない免許の条件が存在しないことです。つまり、初めて運転免許証を取得する20歳未満の人でも取得が可能なのです。

2017年現在、トラックドライバーの不足が流通業界の抱える課題として表面化しています。この課題の遠因として「中型免許」の取得要件のハードルの高さが挙げられていました。上記の通り、中型免許の取得要件には「20歳以上」「普通免許等の通算2年以上の保有」というものがあり、例えば高校を卒業したばかりで流通系の企業に就職した場合には、すぐに配送業務に就くことが困難だったのです。

準中型免許の導入は、大げさに言えば20歳未満の未免許取得者に、トラックドライバーとして勤務する・雇用される自由を与えたと言えるかもしれません。準中型免許で運転可能な車両総重量7.5トン未満、最大積載量4.5トン未満の車両には、宅配便などでよく利用されている、いわゆる2トントラックの多くが該当します。2トントラックは流通業界でニーズの高い車両であり、この車両を若年者が運転できるようになることで、トラックドライバー不足という社会問題が解決に向かうことが期待されています。

すでに「普通免許」を持っている人への影響は?

もちろん、すでに「普通免許」を取得している人の既得権が奪われるようなことはありません。2007年の改正から2017年の改正までの期間に「普通免許」を取得していた人は、これからは「車両総重量5トン未満」限定の「準中型免許」扱いになるので、従来同様車両総重量5トン未満の車両を運転することができます。また、限定解除の技能審査に合格すれば、限定のない準中型免許を取得することが可能です。

2017年の3月以降、つまり改正後に普通免許を取得する人は、それ以前に取得された普通免許と比べて運転できる車両の範囲(最大総重量3.5トン未満、最大積載量2トン未満)が狭くなってしまいますが、20歳未満でトラックを運転することを必要としていなければ、特に支障はないでしょう。

準中型免許の新設は、仕事などでトラックを運転しない人にとっては関心が薄い話かもしれません。しかし、流通業界の人手不足が、トラックドライバーの過労、そして交通事故へと発展してしまう可能性は否定できません。同じ道路を運転しているドライバーである以上、しっかりと背景や影響を理解しておきたいところです。

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