過失相殺とは?

「過失相殺」(かしつそうさい)という言葉を聞かれたことはありませんか?交差点等での車同士の交通事故の解決には、多くのケースで「過失相殺」が行われているのです。ここでは、「過失相殺」の考え方、具体例についてご説明します。

「過失相殺」とは?

損害の公平な分担

交通事故において双方に不注意があった場合、加害者がすべての賠償責任を負担するのでは公平とはいえません。被害者側にも責任がある場合には、損害を公平に分担するため、対物賠償や対人賠償においては被害者側の責任割合相当分を損害額より差し引いて賠償することがあります。これを「過失相殺」といい、民法では第722条2項に「過失相殺」についての取り扱いを定めています。

「責任割合」とは

交通事故の責任割合は、運転者あるいは歩行者等がそれぞれに要求される注意義務を怠っていないかということが、その判断基準になります。一般的には道路交通法に定められている優先関係、遵守事項や運転慣行、事故の状況等から妥当な割合が決められていきます。

「責任割合」と「過失相殺」の具体事例

信号機のない道幅がほぼ同じ道路の交差点における直進車同士の事故で、A・Bとも同程度の速度の場合の例をもとに説明します。

「責任割合」

基本的な責任割合はA40%、B60%となります。

  • 掲載されている責任割合はあくまでも一例です。同様のケースでも諸条件により責任割合は異なりますのでご注意ください。

「過失相殺」・・・損害額から責任割合分を差し引いて賠償

50万円 Bさんの車の修理代(損害額) × 40%(=1-60%) Aさんの責任割合(=1-Bさんの責任割合) = 20万円 AさんがBさんへ賠償すべき金額

Aさんは、Bさんの損害に対し過失相殺により、Bさんの責任割合60%分を差し引き、40%分を賠償することとなります。よって、Bさんの損害額50万円に対し、20万円(=50万円×40%)を賠償します。
一方、AさんはBさんから、Aさんの損害額の60%分の賠償が受けられることになります。

こんなケースにおいても過失相殺は適用されるのでしょうか?

散歩中のペット犬がはねられてしまったら?

散歩中のペット犬が道路上にはみ出し、自動車にはねられてしまった場合には、ペット犬は「他人の財物」にあたり、自動車の対物賠償保険から治療費等の補償を受けられますが、ペット犬の安全確保についての主たる責任は通常飼い主にあり、このようなケースにおいても過失相殺が適用され、治療費等全額の賠償を受けられないケースがあります。

居眠り運転で助手席の彼女にケガをさせてしまったら

彼女との日帰りスキーの帰り、極度の疲労により運転中つい居眠りを・・・
車はガードレールに衝突し、助手席の彼女は右足を骨折し全治3ヶ月のケガ。このようなケースでは対人賠償の対象にはなりますが、過労を承知で同乗した彼女のケガの損害に対して過失相殺が適用されることがあります。これを好意同乗減額といい、判例では、同乗の経緯によって減額が適用されているケースがあります。

当たってないけど、責任はあるのでしょうか?

ドアを開けたら、後ろからきたバイクが転倒!当たってはいないけれど・・・
車のドアを開けたとたん、バイクが突然転倒、運転者は入院!このような直接の接触がない事故においても、自動車の運行(今回のケースではドアの開閉)と被害者のケガとの相当因果関係があれば、通常賠償責任が発生します。もちろん、被害者側にも責任がある場合には、過失相殺により、損害賠償額が減額されることになります。

いかがでしたか?意外なケースもあったのではないでしょうか?
交通事故の形態は千差万別であり、責任割合も種々の状況により変わってきます。ご紹介させていただいたものはごく一例ですが、いずれにしても万全の注意を払って安全運転を心掛けることが肝要です。

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